岐阜県の東(東濃)、中津川市にある苗木城跡(なえぎじょう)
以前から気になっていましたが、このたび続日本100名城に登録されたのを機に、勢いをつけて行ってまいりました。
2018年4月に訪れた時のようすです。
苗木遠山氏と苗木城
遠山家は美濃周辺一帯を治めた氏族で、岩村や明智、馬籠などにも分家があり、100名城で知られる岩村城もこの遠山家の親戚です。
この地・苗木藩を治めていたのが苗木遠山氏です。
14世紀中頃にはこの周辺に砦を築きますが、この高森山の地に城が築かれたのは天文年間(1532-1555)遠山正兼の時代です。
しかし武田、織田の攻防の激戦地でもあるこの周辺。一時は落城し遠山家は城を追われますが、その後、徳川家康に組することで再び藩主となり、幕末まで260年遠山氏の居城となります。
「苗木遠山史料館」 で予習
城跡の手前にある史料館の駐車場に車を停めてまず予習から。
(入館料330円 駐車無料)
このお城を治めていた遠山氏のことは、よほどの歴史マニアでない限りなかなか知ることがありません。城跡巡りの前に立ち寄るのにはちょうど良い規模です。
史料館には家系図や周辺の地理などの基本情報から、苗木遠山家に伝わる古文書(武田家からの書状も)や甲冑など貴重な資料が多数展示されています。
自然の岩を利用した山に築かれた城のようすがわかります。
現在は城跡に建物は残っていませんが、風吹門が遺構として展示されいます。
また、展示の中で興味深いのは、12代当主・遠山友禄(ともよし)の奥方。
嘉姫(よしひめ)といいますが、この方、薩摩藩の篤姫、島津斉彬(なりあきら)のいとこだったんです。展示史料の中には薩摩藩の家紋が刻印されたものがいくつかありました。
史料館は、ご子孫からの寄贈によるものが多いそうでリアルなお宝満載。
所要は20分ほどでした。
なお、続100名城スタンプはこちらの受付でいただくことができます。

続日本100名城公式ガイドブック (歴史群像シリーズ特別編集)
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スタンプをいただくとき窓口の方が「今日はもう(スタンプを求めて)何人もお越しになってますよ」と続100名城人気を喜んでいらっしゃいました。
遠山史料館から城跡へ
史料館から裏手から(車道を通らず)新緑のきれいな歩道を抜けていきます。
少しだけ坂道になっています。
坂を登ったところにも20台ほどの駐車場があります(城跡だけ行きたい方はこちらへ)
史料館の駐車場からここまで歩いて5分ほどでした。
さらに進むと、これから目指す天守跡(本丸)が望めます
テンションが上がるか、下がるか(あそこまで登るの~と)賛否両論の風景(苦笑)
今は空き地のこの場所には、足軽長屋や龍王院(遠山家の祈祷所)がありました。
少々物騒な看板もありますが(苦笑)何事も自己責任でお願いします。
石畳などが整備されていますが、やはり山城。歩きやすい靴&服装で行きましょう。
徐々に石垣が増えてきて、城が近づいてきた・・・とワクワクします。
苗木城跡を散策
苗木城の最大のみどころは、自然の巨石の上に建てられた見事な石垣。
その石垣も年代によって異なる何種類かの石垣の種類が見られるので石垣好きにはたまりません。
無料でいただけるパンフレットにも詳しく解説されているので、これを片手にめぐると楽しいです。
予約をしておけばボランティアガイドさんをお願いすることもできるそうです。
風吹門跡
史料館に保存されている木の扉がもともとあった場所です。
ここは大手門とも呼ばれ、三の丸のへの入口となります。
大矢倉跡
ここの石垣は立派な形で残されています。
早速登ってみました。大矢倉の上から天守方向を見た風景です。
ここにはかつて苗木城最大の建物があり、防御と貯蔵の双方の役割を担っていたそうです。
実は、ここを上から見るとマチュピチュといわれる理由に納得なのです。(後編にて)
大門
このあたりから巨石の上に石垣が組まれている様子がよく見えてきます。
御朱印蔵の石垣
ノミ切り加工整合積みという積み方 技術的に一番新しい石垣と思われます。
そして、これは・・・まるでペルーのクスコで見たような ”カミソリの刃も通さない”と表現されそうな緻密な組み方と似ています。
綿蔵門跡
下に見えるのは二の丸跡 領主の住居や家臣が集まる部屋のあった場所
野面石乱層積み 戦国時代によく見られる積み方です
綿蔵門から先、大きくヘアピンカーブを曲がった先からは、坂を登るに連れて徐々に眺めもよくなっていきます。
坂下門跡
ここには扉が付けられていた遺構もあります。
門が次々にあらわれ、地形の複雑さと相まって、防御的にも堅いものだったようです。
菱櫓門跡
本丸口門
ここの石垣は、資料によれば「野面石乱層積み」「打込石乱層積み」「切込石乱層積み」のすべてを網羅しています。時代ごとに積み増していったのでしょうか?
石垣の手前、屋根のあるところには井戸が残っています。
このような山城で籠城となれば、水が命綱になりますね。
お天気にも恵まれ、予想していたよりはるかに面白い山城です。
手元のパンフレットやマップ、史跡内の案内板なども充実しているので、歩みが遅くなってしまいますが・・・
ここからいよいよ本丸へ進みます。
つづく