以前から気になっていましたが、このたび続日本100名城に登録されたのを機に、勢いをつけて行ってまいりました。
領主・遠山家の歴史を 苗木遠山史料館 で予習
史料館の駐車場に車を停めてまずは予習です。(入館料320円 駐車場無料)
歴史の教科書やドラマに出るような有名人ではありませんので、正直、遠山家のこともこの苗木城のこともほとんどわかりません。予習が必要です。
遠山氏は美濃周辺一帯を治めた氏族で、岩村や明智、馬籠などにも分家があります。この地・苗木藩を治めていたのが苗木遠山家です。
苗木城は、遠山正兼の時代にここ高森山に築城されましたが、武田、織田などの攻防で一時は落城し遠山家は城を追われますが、家康に組することで再び藩主となり、幕末まで260年遠山氏の居城となります。
史料館には家系図や周辺の地理の様子、また苗木遠山家に伝わる古文書(武田家からの書状も)や甲冑など貴重な資料がたくさん展示されています。
その中でミーハーな私が”食いついた”のは、12代当主・遠山友禄(ともよし)の奥方。
嘉姫(よしひめ)といいますが、この方、薩摩藩の篤姫、島津斉彬(なりあきら)のいとこだったんです。展示史料の中には薩摩藩の家紋が刻印されたものがいくつかありました。
この史料館、ご子孫からの寄贈によるものが多いそうで、見ごたえがありました。
(ただし史料は撮影禁止となっています)
史料館に展示されている立体模型
自然の岩を利用した山に築かれた城です。現在は建物は残ってませんが、石垣や礎石などは随所に残っているようです。
風吹門(実物)
館内を20分ほど見学した後、100名城スタンプをいただいていざ城跡へ。

続日本100名城公式ガイドブック (歴史群像シリーズ特別編集)
- 作者: 公益財団法人日本城郭協会
- 出版社/メーカー: 学研プラス
- 発売日: 2017/12/29
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スタンプをいただくとき窓口の方が「今日はもう(スタンプを求めて)何人もお越しになってますよ~」と続100名城人気を喜んでおられるようでした。
ちなみにスタンプは入館しなくても史料館入口でいただくことができます。
史料館から裏手から新緑のきれいな歩道を抜け、少しだけ坂道を登ります。
坂を登ったところにも20台ほどの駐車場があります(城跡だけ行きたい方はこちらへ)
いざ、苗木城跡へ
少し歩くと、広場のようなところからこれから目指す天守跡(本丸)が望めます
今は空き地のこの場所には、足軽長屋や龍王院(遠山家の祈祷所)がありました。
少々物騒な看板もありますが(苦笑)何事も自己責任でお願いします。
石畳などが整備されていますが、やはり山城。歩きやすい靴&服装で行きましょう。
徐々に石垣が増えてきて、テンションが上がってきます。
風吹門跡
さきほど史料館で見た木の扉があった場所。
ここは大手門とも呼ばれ、三の丸のへの入口となります。
苗木城の最大のみどころは、自然の巨石の上に建てられた見事な石垣。その石垣も年代によって異なる何種類かの石垣の種類が見られるので石垣好きにはたまりません。無料でいただけるパンフレットにも詳しく解説されているので、これを片手にめぐると楽しいです。
予約をしておけばボランティアガイドさんをお願いすることもできるそうです。
大矢倉跡
ここの石垣は立派な形で残されています。
早速登ってみました。大矢倉の上から天守方向の風景です。
ここは苗木城最大の建物があり、防御的な役割と倉庫の双方の機能があったそうです。
大門
このあたりから巨石の上に石垣が組まれている様子がよく見えてきます。
御朱印蔵の石垣
ノミ切り加工整合積みという積み方 技術的に一番新しい石垣と思われます。
そして、これは・・・まるでペルーのクスコで見たような
”カミソリの刃も通さない”と表現されそうな緻密な組み方ですね~
これです。
綿蔵門跡
下に見えるのは二の丸跡 領主の住居や家臣が集まる部屋のあった場所
野面石乱層積み 戦国時代によく見られる積み方です
綿蔵門から先、大きくヘアピンカーブを曲がった先からは、坂を登るに連れて徐々に眺めもよくなっていきます。
坂下門跡
ここには扉が付けられていた遺構もあります。
門が次々にあらわれ、地形の複雑さと相まって、防御的にも堅いものだったようです。
菱櫓門跡
本丸口門
ここの石垣は、資料によれば「野面石乱層積み」「打込石乱層積み」「切込石乱層積み」のすべてを網羅しています。時代ごとに積み増していったのでしょうか?
石垣の手前、屋根のあるところには井戸が残っています。
このような山城で籠城となれば、水が命綱になりますね。
予想を超えて面白い山城です。手元のパンフレットやマップ、史跡内の案内板なども充実しているので、歩みが遅くなってしまいますが・・・
ここからいよいよ本丸へ進みます。
つづく