6月中旬に1年ぶりの京都へ。(大阪北部地震のちょうど1週間前のこと・・・)
京都は観光客が多すぎというイメージですが、昨年はGWの合間の平日に行ってみたところ意外にもすいていた上に、青もみじと苔の競演が見事でした。
すっかり青もみじの魅力にはまってしまい、この季節なら混雑を避けてゆっくり寺社も拝観できるので、関西への出張とくっつけて、梅雨の合間の平日にGO。
ブラタモリに影響されて銀閣寺へ
今回注目したのは、洛東エリアの東山界隈。ちょっと前に「ブラタモリ」で銀閣寺周辺(番組では奥東山と表現)が放映され、次はこれだ!とチャンスをうかがっていた絶妙のタイミングなのでした。
東山(清水寺・銀閣寺方面)へは100系統バス(D1のりば)
旅のスタートは京都駅。コインロッカーは新幹線口(八条口)にたくさんあります。
京都駅から銀閣寺へ向かうのは、100系統のバス。
京都のバスは後ろから乗って、降車時に料金を払います。Suicaも使えます。
人気スポットを経由する路線なので(過去に一度帰りにはまりました)、バスの混雑は覚悟しましたが、この時期は余裕でした。
車窓に八坂神社や平安神宮などの有名寺社を眺めながら40分ほどバスにゆられて銀閣寺前で下車。
ゆるい坂になっている参道沿いには飲食店やおみやげ店が立ち並んでいます。
着いたばかり、おまけに涼しい日なのに、いきなりアイスのおやつです(笑)
インスタ映えしそうな!?フルーツ入り食べたかったのですが、この先、いろいろ食べたくなるので(笑)シンプル系でガマンです。
銀閣寺の正式名称は東山慈照寺
総門
この季節は、修学旅行の中高生が多いです。今の時代はグループごとに電車やハイヤーでの少人数グループ観光が主流ですが、私たちの時代(俗にいう”ヤンチャ”な「腐ったミカン」世代です)は、ほぼ自由行動なし。200人超のご一行様は大型バス5台ほどで寺社を連れまわされました(泣)
傘をさすかささないかの微妙なお天気ですが、青葉についた水滴がきれいです。
表札には、正式名称が表記されています。
銀閣寺は、
15世紀末、室町幕府第八代将軍・足利義政によって建てられました。もともとは、隠居した義政のために造られた山荘でした。その後、臨済宗相国寺派の禅寺となり、現在は世界文化遺産に指定されています。
武家、公家、禅僧らの文化が融合して生まれた「東山文化」の発祥でもあります。
銀閣寺垣
ここから「ブラタモリワールド」再現です。
5メートルはありそうな生垣を歩んでいくと気持ちが引き締まります。まさに「俗」と「聖」の境界ですね。
この先に拝観受付があり、中門をくぐります。
中門をくぐって右側(出口となる場所近く)に御朱印受付があります。
多くの観光客が訪れるお寺ですので、先に預けるように案内されています。
順路に向かうと左手に大きな庫裏(くり)が見え、その先に庭園がありました。
ここは特に案内表示はありませんが、枯山水の小さな庭園とツツジが見ごろでしたのでパチリ
そして・・・ザ・銀閣寺な3ショットがこちら
・銀沙灘(ぎんしゃだん)
・向月台(こうげつだい)
・観音殿(かんのんでん)
富士山のようにも見える向月台は、月を見るための展望台(この上に座る?)ともいわれています。銀沙灘も海を表しているようにも見えますが、これも謎。
見る人の想像で楽しんでみるのがよいかと。
通称・銀閣といわれる建物(国宝)は、正式には観音殿(かんのんでん)
二層になっていて、一層は書院造。二層は唐様仏殿の様式です。
一層は庭に向いた面が正面、一方で二層は仏殿の形式である南側が正面になった風変わりなつくり。住居のようでいて観音様が祀られた仏殿でもあるのです。
そして、銀沙灘をつくる白い砂は、背後にそびえる山が削られ、白川によって流れてきたもの。比叡山と大文字山の間の地形が生み出した自然の産物です。
ブラタモリを見た後に行くと、視点が広がってずいぶん楽しめます。
ちなみに建物の近くで撮るとあまり思うようなショットになりませんので、本堂の前を通り過ぎたあたりがオススメです。
撮影用に作られた?花頭窓(かとうまど)から銀沙灘をのぞくことができます。
本堂
銀閣寺型手水鉢
茶の湯などで水を汲む場として設けられたもの。僧侶が身につける袈裟(けさ)にも似ていることから袈裟型手水鉢(ちょうずばち)ともいわれるそうです。
東求堂(とうぐどう)
国宝。義政の持仏堂で、現存最古の書院づくりの建物。同仁斎(人はみな平等の意味)とよばれる四畳半の間は、四畳半発祥といわれています。
残念ながらこれらの建物の内部は通常入ることができません。(受付でいただくリーフレットに写真が掲載されています)
金閣寺と比較される銀閣寺ですが、実際には銀箔は貼られていません。財政的に難しく銀箔が貼れなかった説や、はじめから義政は銀箔を貼る予定はなかったなど諸説あります。
しかし改め見ると、その内部からにじみ出る建築美や歴史の重みが感じられます。パッと見の華やかさや美しさではないところにある、日本独特の美学ですね。年を重ねて理解できる美しさでもあります。
数年前に金閣寺に行ったときには、いかにもな某国の団体がギャーギャーいいながら周囲の迷惑も考えずに写真を撮りまくっていましたが、ここは雰囲気が違います。もちろん外国人も多いのですが、みなさん静かに建物や庭を観賞していたのが印象的でした。最近は日本人より日本を深く知る熱心な”日本マニア”の方も増えていますね。
ルートは一方通行なのでそのまま池のあるほうへ進んで行きます。
洗月泉
滝ではありませんが、これからの季節は青もみじとの競演が涼を醸し出します。
ここまで来ると、時間の都合などで出口へ向かう人が多いようですが、ここからがみどころ。
鮮やかな緑の木々に囲まれた階段をのぼって展望所に向かいます。
ここが断層崖(だんそうがい)入口 (ブラタモリフリークだけわかる話?)
お茶の井
お茶の井庭園と称されるこのエリアは、苔寺として知られる西芳寺の庭園がモデルになっているそうです。
昭和初期に発掘された石組みは当時のままの形。
さらに登っていく歩道の斜面には、見事な苔が見られました。苔寺がモデルと知って歩くと感動もひときわ高まります。
展望所からの眺め
池は見えませんが、境内の建物のほとんどが見えます。
正面に見えるのが吉田山ですね。京の都(御所)の見えないところで余生を送りたかった義政の苦労が偲ばれます。
こんなに素晴らしい景色が見られるのに展望所まで来る人は少ないです。
下りも美しい庭が楽しめました。
昨年訪ねた宝厳院(天龍寺塔頭)で苔の手入れをしていた庭師さんから「苔は雨が降るごとに緑が深くなっていく」と教えてもらいました。たしかに昨年見た苔より緑が濃いなと感じます。
銀閣寺は過去2~3度は訪ねていると思うのですが、こんなに素晴らしい散策ができるとは初めて知りました。
観音殿の鳳凰
観音殿の屋根(杮葺き)
屋根も杮葺き(こけらぶき)だったことに気づきました。地味ながらも細かい技が随所に見られます。
出口へ曲がるところに杮葺きの模型が展示されていました。
御朱印はこちら
京都の有名な寺社は御朱印も書き置きが多いと聞いていましたが、時期によっては御朱印帳にこのように筆書きをしていただけます。時間に余裕を持っていきましょう。
今回はガイドブックにはのっていないブラタモリ情報とあわせて随分と楽しめた銀閣寺でした。帰ってきて再び録画を見たら「あっ、それ見てくるの忘れた」っていうのもありましたが(苦笑)
日本の美「侘び寂び」、そして伝統建築の技を象徴する銀閣寺。あらためて奥の深さを知ることとなりました。
この後は、哲学の道をたどって南禅寺方面へ南下していきます。
つづく