国内には現存天守といわれる江戸時代から残る天守閣が12あります。
そのうち5つ(姫路、松本、犬山、彦根、松江)が国宝。そのひとつ彦根城を訪ねました。
彦根城は何度か訪れていますが、天守があまり大きくないのでインパクトは小さめ。城よりもゆるキャラひこにゃんの存在が大きいですし・・・
しかし、改めて訪ねてみるとその重要性や立地、井伊家に対する徳川の信頼度など見方が変わります。ただ美しい、ひこにゃんのいる城・・・ではないのです。
佐和口門から表門へ
私は、宿泊するホテルに駐車させてもらいましたので、いつもとは違うルート、佐和口門から表門へ向かいました。もしかしたらここを通るのはお初かも。
佐和口多門櫓(重要文化財)
すらりと伸びた櫓が堀に栄えます。
ここ、ライトアップも素晴らしいです。(秋冬の季節限定です)
表御門跡
城内見学のメインエントランスとなります。
9月の3連休でしたが、そんなに混雑していなくてラッキー!?(実はそんなに甘くない)
券売所と彦根城博物館
左が券売所。彦根城(玄宮園含む)の入場料は、おとな800円。
右の建物はかつての表御殿の跡地につくられた博物館(別途500円)
私は、彦根港で竹生島行きのフェリーとの1dayパスを購入したので、ここで引き換えです。
しかし、約半日でこの2か所を巡るのは、なかなか体力勝負となります。
敵を欺く仕掛けが盛りだくさんの城内へ
ゲートを入ってすぐの看板
先の台風21号(阪神地域を直撃した巨大台風)の影響で各所に被害があったようで、立ち入りできない区域がありました。1日も早い修復が待たれます。
ゆるやかで幅の広い階段ですが、これが侮れません!
あえて不規則な間隔で作られている階段は、敵の呼吸を乱れさせ体力を消耗させる意図がありました。
敵ではありませんが(笑)疲れます。
天秤櫓(重要文化財)
やっと階段を登りきったら今度は上から攻められます(>_<)
先ほど入ってきた表御門と反対側にある大手門をつなぐ場所にある重要ポイント。
天秤櫓を支える石垣もみどころがあります。
積み方の違う石垣(左が切り込みハギ、右が打ち込みハギ)が混在しています。左のほうが緻密に石垣がはめこまれた新しい(幕末に改修)技法です。
天秤櫓の背後、この先ぐるりと回り込んでいくと、橋の正面に出ます。
橋の上から櫓を見ると天秤に吊られたように見えることから「天秤櫓」の名前が付けられています。
櫓が欠けてしまってわかりにくいですが・・・非対称の櫓です。
天秤櫓内部
柱の削り跡に時代を感じます。
また階段が続きます。何度も曲がっているうちに方向感覚がなくなります(-_-;)
このあたりは、戦国時代を象徴する野面積みの石垣が続きます。
彦根藩と井伊氏の歴史
彦根藩は井伊直政が初代藩主。関ヶ原の合戦後に石田三成の居城だった佐和山城を拝領したのがはじまりです。
昨年の大河ドラマ「おんな城主 直虎」でも描かれましたが、遠江(とおとうみ)出身の井伊直政がお家断絶寸前の危機に瀕しながら、直虎に守られ、徳川家康のもとで出世し徳川四天王にまで上りつめていきました。
佐和山城から琵琶湖藩(金亀山)へお引越し
佐和山からこの地に城を移したのは、西の豊臣に対する前衛基地の役割もありました。琵琶湖に面し水運なども利用でき、城下町もつくりやすい平地など数多くの利点もあります。
彦根城は、天下普請によって築城されました。一大名でありながら天下普請とは、徳川からの信頼度も絶大ということがうかがえます。
しかし、井伊直政は、関ヶ原で負った傷がもとで1602年に没したので、実際にこの地に築城したのは、長男の直継、次男の直孝の時代になってからのこと。
もともとはお寺があったというこの地は、金亀(こんき)山と呼ばれていたので、彦根城は別名 金亀城と称されます。
彦根城は”リサイクル城”だった
時代は関ヶ原の合戦直後。戦のたびに各地で城が焼け落ち、勝った負けたで城主が入れ替わった時代。
この彦根城は新たに作られたのでその資材は、近隣の城の再利用。すなわちリサイクル城だったのです。
前述した天秤櫓は、長浜城からの移築、石垣の多くは佐和山城から運んだものだそうです。さらに瓦は小谷城の土で焼いたものだとか。
太鼓門櫓
反対側からですが、高欄(手すり)のついた珍しい形の櫓です。
出どころは不明ですが、これもどこかの城の門の再利用とみられています。
いよいよ天守閣が見えてきました。ちなみに天守閣は大津城からの移築。
彦根城天守閣のおすすめ撮影角度は”南東2面撮り”
天守閣(国宝)
記念撮影用のひこにゃん。
みなさんここでまず撮影しますが、本当はここ正面じゃないんですね。東面になります。
正面(南面)はこちら。
ただ、こちら側から撮影するには距離が足りなません。引きすぎると背面は崖です。
ということで、こちらで落ち着きました。
天守閣 南東面
小ぶりながらも、破風(はふう)や花頭窓(かとうまど)という装飾がふんだんに取り入れられて優美な雰囲気が漂います。
南東2面が入るように撮ると、そのゴージャスさも一段アップします。
でも、二層目の漆喰がはがれている?ことに後で気づいてしまったのです。
さあ、いよいよ天守閣内部へ!
すいていると思って余裕で来たら入場待ちの行列ではありませんか!
並びたくない私ですが、前回も「30分待ち」くらいを断念したので、今回はこれくらいガマンです。 実際は10分も待たずに入れましたが、この先が・・・試練。
つづく