2013年に参加した黒部ダム完成50周年を記念した見学ツアーの記事です。
今回の見学会の定員は1回につき15名。駅長室前には、すぐに全員が集合しました。
参加者は子供さんも含め幅広い年齢層。みなさんここまでわざわざ出向く方々ですからどれだけダム好きなのかしら?と気になりますが・・・きっとお互いそんな風に思っているんでしょうね(笑)
特別な通路を通って「特設会場」へ
集合場所で案内を担当してくださった係の方からスケジュールや移動についての簡単な説明を受けた後、「特別な部屋をご用意しています」と意味深な案内で移動開始です。
ちょっと大げさ?と思いながらも期待して通路を進んでいきます。もちろんこの通路も一般立ち入り禁止のエリアです。
途中、トロリーバスが通るトンネル内を少し歩くのでヘルメットを装着します。
その先の扉の奥にはこんな部屋が待っていました。
岩肌がむき出しになった一室が今回の特設会場として設えられていました。
映画のセットでも、遊園地のアトラクションでもありません。正真正銘50年以上前に掘られた空間が、そのまま残されている空間です。7月なのにここはとてもひんやりして鍾乳洞のようです。
ノミが突き刺さったまま50年。
椅子の上には、なんだか面白いことになりそうな装備品が・・・
本日の見学の趣旨やダムの歴史・構造などのレクチャーが30分ほどありました。
とにかく日本国内でも有数の規模を誇る巨大ダム。この中に入れると思うとテンション上がりますが・・・30分もいるとずいぶん冷えます、この部屋(泣)
今日のコースはこんな感じ。
黒部ダムでこのルートを一般向けに公開するのは初の試みだそうです。
50周年だから開催できたとのことで「次は50年後です」とおっしゃってましたがどうなんでしょう? 60周年でもぜひお願いしたいです・・・
ダム内部の監査廊へ
レクチャーの後、いよいよダム内部探検ツアーの出発。なんと!金属探知のセキュリティチェックがありました。映画「ホワイトアウト」か、と突っ込みたくなりましたけど(笑) 巨大なインフラですから危機管理の体制はあるわけですね。
ついでに見学会での写真撮影はOKですが、動画はセキュリティ上NGとのことでした。
トンネル内を進んでいきます。まだここはウイングの部分です。
監査廊を歩いていると、まるで「ホワイト・アウト」の世界(苦笑)。ちなみに映画の冒頭で黒部ダムが使われていますが、ストーリーのモデルは奥只見ダムです。
あちこちに分岐があって、どこをどう進んでいるのかさっぱりわかりません。完全に方向感覚が失われています。
エレベーター乗り場
厳重に施錠された柵の奥にエレベーターがあります。下へ向かいます。
初代のエレベーターは東京タワー建設工事で使った後の”おさがり”だったそうです。
エレベーターを降りると、いよいよ監査廊の中にある重要スポット見学です。
ロックテスト坑
ダム建設時に、ダムのコンクリートと山の岩盤の重なる部分にどれだけの力がかかるかをテストした場所です。
黒部ダムの建設が進んでいる時にフランスで同じ形状のアーチダムが崩落した事故を受け、何度も試験を重ね100回以上にわたる設計変更をしたそうです。その結果、現在のウイング付きのアーチという形状になったそうです。
パネルなどを見ると、社員研修など関係者の見学に使われているようです。
岩盤とダム本体への境界部分
だそうですが、言われなければ全然わかりません(泣)
下げ振り変位計
ダムのたわみを測る計測装置の見学です。
最大2億トンもの水を支えるダムは、水量の変化によって傾きが常に変化しているので、その傾き具合をチェックする装置がこちらです。
ダムの測定と聞くと、これだけの大規模ダムならハイテクな機器が並んだ管理室で遠隔管理していると思いきや、意外にもアナログな計測装置だったことに驚きました。
もちろんコンピュータでも管理しているのだとは思いますが、単なる数値データでなく、実際に人の目でその動きを監視する「職人技」が”最後の砦”になるんですね。
さあ、いよいよこの見学会のクライマックスとなる場所へ向かいます。
つづく