2019年4月の春の奈良旅 つづきです。
斑鳩(いかるが)の法輪寺と法起寺を巡った後は、レンタカーがあるなら、と足を延ばし、宇陀市にある室生寺へ。
道の駅・針テラスを過ぎたあたりからは山道に入るのですが、日曜日にもかかわらずあまりにもすれ違う車が少なくて不安になりつつ、山あいの風景に車を停めつつパチリ
かなり山深いところまでやってきたと感じる頃に到着です。
女人高野ともいわれる室生寺へ
川沿いに駐車して境内へ。駐車場係の方が「赤い橋のところ曲がってね」と案内してくれました。聞かなかったら通り過ぎていたかも!?
入口は赤い太鼓橋が目印
太鼓橋の上あたりから撮影したと思います。
この門からは入れません。橋を渡ったら右に進んで拝観受付へ。
室生寺(むろうじ)の概要
創建は8世紀末。興福寺の僧・賢璟(けんけい)及び修円による創建。かつては興福寺の末寺でしたが、現在は真言宗室生寺派の本山です。
女人高野とも呼ばれるのは、女人禁制だった高野山に対しこちらは女性の入山が許されたことからだそうです。
歴史的にも価値の高い建造物や仏像を有するお寺ですが、寺院のある室生山の豊かな自然、季節の花々もみどころです。
春の特別拝観の記念品とともに
ちょうど特別拝観の期間ということで拝観料は1000円(通常は600円)でしたが、普段は入れない金堂の中で、間近にご本尊などを拝観することができました。記念品付き。
記念品はA5サイズのクリアファイル。旅先でのチケットやリーフレットを収納するのに便利です。
納経所と仁王門(工事中)
納経所は境内の堂宇でもいただけますのでここはスルー。足りなければ帰りにここでいただくこともできます。
仁王門は工事中でした(2019年秋頃修復完了予定) 完成後のイメージイラストです。
鎧坂(よろいざか)
坂を登った先に、日本人ならなんともほっこりとする建物が見えてきます。階段両脇には室生寺のシンボルでもある石楠花(しゃくなげ)が植えられています。
金堂(国宝)
山々の自然に溶け込むようにひっそりたたずんでいる杮葺(こけらぶき)の建物は平安時代に建立されたもの。
横から見ると寄棟づくりになっているのがわかります。
ここには国宝・釈迦如来像と十一面観音が安置されています。ちょうど拝観できる期間でした(2019年春は5月12日までで終了)。春と秋に公開があるようです。
弥勒堂(重要文化財)
金堂の左手側にある建物。鎌倉時代の建造ですが、屋根は修復されたばかりの様子。
平安時代の作といわれる弥勒菩薩が安置されています。
本堂(国宝)
真言密教の重要な儀式である灌頂を行うことから灌頂堂とも称される建物。鎌倉時代の建造です。
弥勒堂と本堂は入母屋造で似た構造になっています。
ここまで来ただけでも自然あふれる境内の雰囲気に癒されるのですが、室生寺のみどころはここから先まだまだ続きます。
室生寺のシンボル 石楠花にはちょっと早かった・・・
五重塔(国宝)
ここが室生寺いちばんの”写真映えするスポット”でもあります。一眼レフを携えた方たちも多くいました。
が、シンボルの石楠花は、あと数日で開花というタイミング。
数年前に訪ねた長谷寺の牡丹も1週間ほど早いタイミングでした。私の場合、花は狙っていません。混雑なくお寺をゆっくり楽しむには”嵐の前に静けさ”がいいんです。
その代わりに4月中旬でも桜がまだ楽しめました。
階段を登ると、案外五重塔が小さいことに気づきます。高さは16メートルだそうです。
とはいえ、法隆寺の五重塔に次いで日本で二番目に古い歴史ある塔なのです。
きれいにお色直し(修復)されているので、近代的な五重塔に見えてしまうのがちょっぴり残念ですが、朱色が周囲の緑と良いコントラストになっています。
まさに”修行” 奥の院への道のり
ここから奥の院に進みます。
実は、しっかり予習していなかった私。和歌山県の高野山をイメージしていました。しかしあちらは大学まである町になっていて、山の上も開けた印象でした。
こちらは・・・
落石はまだしも、マムシは勘弁してほしいです。
しかしここは天然記念物の羊歯(シダ)の植生地。神聖な地であることから開発から逃れ、自然も守られているんですね。宮島の弥山と似た環境です。
橋を渡れば奥の院はもうすぐ・・・というのは高野山の話
室生寺はここからが”勝負”そして”修行”なのです(泣)
ひたすら続く急な石段(これは間もなく頂上というタイミングで撮影)
後でお土産店のおばあちゃんに聞いたら「仁王門付近からすべてあわせて700段くらい」とおっしゃっていました(@_@)
しかし木々に囲まれた空間を心を無にして歩いていると、日々の煩悩などがふっと払われるような気持になれます。(余裕がないので頭が空っぽになっているだけ、か)
弘法大師を祀る奥の院
階段を登りきる手前で懸造り(かけづくり)の建物が目に飛び込んできます。
常燈堂
御影堂(重要文化財)
常燈堂の奥に建つお堂で、弘法大師が祀られています。
奥の院は建物が3つほど並んでいるだけですが、常燈堂の高欄で下界を眺めながら一息つくこともできます。
が、私は金堂の拝観より先にこちらに登ってしまったので先を急がねば・・・
正直、上りよりも下りの方が怖いです。
すれちがいには余裕がありますが、石段が不安定だったり、何よりも自分の足がガクガク(苦笑)。転がり落ちないように今度は緊張の糸を切らさず下りました。
奥の院までの所要時間と注意事項
奥の院まで上って下って、拝観まで含めトータル2時間弱境内にいました。
ゆっくり自然を楽しんだり、花々の写真を撮ったりするならば3時間くらいの余裕は欲しいですね。
奥の院への階段は幅も広く、両側には手すりも整備されています。拝観受付付近で竹の棒なども貸してもらえますが、なかなかの急坂になっていますので歩きやすい靴で行きましょう。
また雨の時は滑りやすいので十分に注意を払い、無理そうなら途中で引き返す決断も。
金堂を出る頃に、とうとう雨が本格的に降り出しました。奥の院に無事に行かれたことに感謝です。
室生寺の御朱印と御朱印帳
室生寺では、全部で12種類の御朱印がいただけます。
御朱印帳
各納経所で購入できます。五重塔としゃくなげがコントラストが美しく刺繍されています。実際にこの風景を見ることはできなかったのでせめてもの記念に購入しました。
御朱印(本堂にて)
御朱印(奥の院にて)
室生寺の駐車場は?
自家用車の駐車場は、太鼓橋の手前の川沿い及びその上にかなりの台数停められます。
一見、川沿いは無料スペースかとかなと思ってしまいますが、ちゃんと管理人の人がチェックしていて徴収されます(苦笑) 乗用車1回500円です(時間制ではありません)
奈良県内には、この室生寺の他にも自然あふれる山に境内が広がり、季節の花々も楽しめる長谷寺や大神神社といった寺社があります。車がないとちょっと不便ですが、最近このような場所に足を運んで数時間ゆっくり滞在して境内の建造物や仏像と自然をあわせて楽しむのが心も落ち着いていいかも、と思えるようになっています。