この記事は、2006年に参加した黒部ルート見学会についての内容です。
2023年までは現地集合・解散の公募制で見学できましたが、2024年より黒部宇奈月キャニオンルートとして一般旅行商品として発売されることになりました。
一般的な観光ルートでは体験できないレアなコースであり、日本の電力需要を支えるための大プロジェクト。その苦労の歴史を振り返る貴重な内容になっています。
私が参加したのは2006年ですが、ほぼ同じ内容になると思いますので参考にしていただければ幸いです。
立山黒部アルペンルートとの違い
黒部といってパッと思い浮かぶのは、黒部ダムと 立山黒部アルペンルート。
黒部ダムを中心にいくつかの乗り物を利用して大自然のパノラマが楽しめる観光ルートです。自家用車が乗り入れができない秘境であり、毎年多くの人が訪れます。
また、黒部川に沿って深い峡谷美を楽しめる鉄道路線である黒部峡谷鉄道(宇奈月-欅平)も、立山黒部アルペンルートとツアーで訪れることもが多い人気ルートです。
これに対して、黒部ルート 改め 黒部宇奈月キャニオンルートは富山県と長野県境にある黒部ダムから黒部峡谷鉄道の欅平(けやきだいら)を結ぶ一般開放されていない地下ルートです。
GoogleMap上には、当然道はありませんので、多分このあたりを通っているんじゃないかというところを書き込んでみました。
青色が立山黒部アルペンルート、緑色が黒部峡谷鉄道、赤色が黒部ルートです。
元をたどれば、いずれも世紀の大工事と言われた黒部ダム建設の資材運搬などのために作られたルートです。
黒部ルートは、現在も黒部川第四発電所など関西電力が管理する発電所などに向かう人たちの作業・点検ルートとして利用されています。
そのほとんどは風光明媚とは正反対に、地下空間をひたすら進むルート。
このルートを唯一見学できる手段が、公募による黒部ルート見学会です。(2023年で終了)
当選した人のみが、作業員たちが利用するのと同じ乗り物に乗って見学させてもらえるレアなルートなのです。
他のルートはお金さえ払えば利用することができますが、唯一このルートだけは、お金を積んでもダメ。運と努力により当選するしかありません!
2024年からはお金を払えば願いは叶います! ただし健康上の制約があります。
見学ルートはこんな感じ
こんな秘境中の秘境(もちろん車の乗り入れも禁止)に現地集合しなければならないという見学会でありながら、3~10倍くらいの競争率という人気を誇っています。
あの人気を博した番組「プロジェクトX」の王道ともいえる先人たちの汗の結晶が詰まった土木工事の現場そのものですから。プロジェクトXも2024年に復活します。
大人にとっては、夢の国なテーマパークより、超現実的なこっちの方がよっぽどテンション上がるはず。
2024年から一般ツアーへ開放
抽選になかなか当たらないという苦労もさることながら、今までは黒部ダムまたは欅平駅の現地集合でしたので集合場所までの足の確保ができず断念していた方にとっても参加しやすい環境が整えられると思います。
今までのレア感が失われるのはちょっと残念な気がしますが、反対に考えれば、今までこのルートを知らなかった多くの人々に黒部ダム建設の偉業を知ってもらうことにもなります。
2023年10月にツアー費用は13万円程度になるとの報道がありました。
販売開始は2024年1月29日からとなるそうです。
この金額をどう見るかは人それぞれですが、日本人なら一度は見ておくべき価値は十分あることは確かです。
冒頭から脱線話になりますが、私が参加したきっかけのご紹介から(笑)
この見学会を知ったきっかけ
2002年のNHK紅白歌合戦に中島みゆきさんが出演され「地上の星」を歌った3年後に黒部ダムに行きました。
もともとダム大好きに加え、みゆきさんファンの私♡
岩肌むき出しの厳冬の黒部のトンネル内で、生歌披露という衝撃的&感動的な映像に、ファンとしては「聖地」となったあの場所に立ちたい!という意気込みで。
中継冒頭にテレビに映ったのがこの車両です。
放送直後、他局では「どうせ口パクなんだろう・・・」となめていたそうですが、みゆきさんが歌詞を間違えたことで”生歌”が証明されたのです。コンサートでも歌詞が飛ぶことはない完璧なみゆきさん。よほど緊張されていたことが伝わってきました。また、トンネル内での音響調整にはNHKのスタッフさんたちが大変苦労されたというのも後のメイキング映像で見ました。
テレビでも「黒部ダム」と言っていたので、ダムに行けばあの場所が見られると期待して観光案内のスタッフに聞きました。
私「紅白で、中島みゆきさんが歌った場所に行きたいんです!」
案内係「あれは、実はここのダムじゃないんですよ。このダムから10キロ下流の地下発電所で、通常は一般の立入りができないところなんです。」
ここまで来たのに玉砕だわ~ と思った直後
案内係「実は限定で入れるツアーがあるんです」
そこからは、かぶりつきでその詳細を聞きました。
ただし、この時すでに当年の応募は締め切られていたので、翌年に備え資料を駅長室でいただいて帰ってきました。
その駅長室は、さらに8年後に幸運をもたらしてくれた場所です。
↓↓これより先の手順は今後不要です。お金を準備して旅行会社等にお申込みください。
黒部ルート見学会 応募から当選までの道のり
黒部ルート見学会に申し込む前の準備
2006年度の応募開始を待って申し込みです。
申し込む前に、日にちとルートを決めなければなりません。見学会の集合場所は、以下の2か所
・黒部峡谷鉄道の欅平(けやきだいら)駅
・黒部ダム
集合場所へは直接自家用車で行くことはできません。さらに一方通行の見学となるため、解散してからの帰りのルートも確保しなければなりません。
いずれにしても最寄まで自家用車で行った場合は、有料の回送サービスを利用することになります。最短ルートで、なるべくお得に行くにはどうするか考えました。
なお、現在はモデルルートの案内も掲載されています。
どちらでも回送は可能ですが、回送料金や宿泊地との兼ね合いで「欅平集合、黒部ダム解散のルート」で申し込みをしました。
参加人数、当選倍率は? 当選しやすい季節は?
参加人数は1日あたりそれぞれの出発地で各30名の計60名。
私は友人と休みやすい曜日配列で申し込みました。とにかく早く行きたい一心で6月を選びました。
週末を利用して参加できる日程が設定されていてそちらも人気で10倍を超える日もあります。
季節に関しては、夏休み、紅葉シーズンの人気が高くなっています。
ここ数年の様子を見ると、欅平出発のほうが人気が高い様子。
というわけで倍率が比較的低いのは、「黒部ダム出発」の「シーズン初頭(5~6月)」「平日」という日程になるのではと分析しました。
当選通知がやってきた
そして、待つこと?ヶ月(昔過ぎて忘れてしまいましたが)当選通知がやってきました。(はずれた場合は連絡はこないようです)
その時は、「申し込めば当たるんだ」くらいに思っていたのですが、現地に行ってみたところ「4回目でやっと当たった」という人に遭遇して、私がいかに「ダム運」が強いかを再認識したのでした(笑)
【2023.12追記】
参加にあたっての制約事項
このルートは、工事・点検用のルートなのでバリアフリーなどを求めることはできません。
下記は2006年当時の参加制約事項でしたが、今後の一般公開でも大きく変わることはないと思います。
・小学5年生以上で、乗り物の乗降や階段の歩行に支障のない方
さらに実際に参加した感想として追加させていただくと、
・乗り物内が狭い(天井も低い)ので閉所恐怖症の方にはオススメできません。
・大きな荷物を持っての参加は不可(ツアーであればバスに預けることは可能)
下記のリンクより実際に黒部ルート見学会に参加した内容を3つの記事に分けてご紹介しています。
ダム運の強い私はこんな限定ツアーにも当選して参加しました。
★期間限定(2013年のみ)の50周年記念特別見学会の記事はこちら