2019年6月の福岡の旅 つづきです。
中州から地下鉄に乗って向かったのは福岡城跡。ブラタモリ的にいえば、中洲を挟んだ西側エリアの「福岡」。東の「博多」に対して黒田長政時代以降の新しい街です。
目的は100名城である福岡城跡だったのですが、実際に行ってみたら江戸時代どころの話ではなく、それより1000年近く前、日本の外交拠点として重要な施設がここにはあり、その遺構が丸ごと見られるという驚くべき場所でした。
ちょっと不気味 赤浮草が繁殖するお堀の光景
地下鉄 大濠公園駅からまずはスタンプ設置場所を目指します(地下鉄 赤坂駅からのほうが少し近いかも!?)
福岡城のお堀がなんだか異様なんですけど・・・
これ水面です。地元の方が水面に接近して写真を撮っているので何事かお聞きすると、急繁殖した赤浮草とのこと。その光景に何か害でもあるかと思ったのですが、魚なども生息しているし共存できているそうです。
季節的なものなのかわかりませんが、繁殖力が強いそうで・・・不気味。
城の西側 下之橋御門から入城
下之橋御門と(伝)潮見櫓
日常の通用門として使用されていました。江戸時代からの門は、近年不審火により焼失したため2008年に復元されています。
写真中央上は、潮見櫓。「伝」と付けられているのは(移築された経緯が複雑で)近年の調査で別の櫓だった可能性が高いからだそうです。
旧 母里太兵衛邸長屋門
黒田二十四騎のひとり、母里友信(もりとものぶ)通称 太兵衛(たへえ)の屋敷にあった門が移築されたもの。
この一帯は舞鶴公園と大濠公園という2つの大きな公園が広がるエリア。
まずは舞鶴公園側にある陸上競技場の脇を歩いてやっと鴻臚館展示館です。
ここまで歩くだけで1km。クタクタでした~(-_-;)
100名城スタンプ設置場所「鴻臚館」は古代遺跡だった
ここはお城とどんな関係があるんだろうと気になりつつ、窓口でスタンプを依頼。
受付の方は感じが良く、施設の概略をザクっとお話してくださいました。館内に案内されスタンプを押させていただいた後、展示館も無料なのでまずはここを見学。
鴻臚館とは
こうろかん、と読みます。7世紀から11世紀(飛鳥時代から平安時代)にかけて、大陸との外交のために造られ使用された施設です。
唐や新羅(しらぎ)の外交使節をもてなす迎賓館でもあり、日本からの遣唐使の送迎にも使われていたそうです。当初は筑紫館と呼ばれていましたが、その後、中国由来の鴻臚館に改称されました。
同時にこの地は、大陸からの襲来に備えた国防の最前線でもある位置。その後、太宰府に政庁がおかれてからは出先機関となっていました。
同様の迎賓施設は京都(平安京)、大阪(難波)にも設けられていましたが遺構が見つかっているのはこの地だけ。1987(昭和63)年にこの場所にあった球場の改修工事の際、遺構が発見され、その後発掘調査が行われています。
鴻臚館展示館内の様子
びっくり! 遺跡発掘現場をそのまま素屋根で囲んで保存しています。
博多湾に近いこの場所は、地理的にも重要な場所であったことがわかります。
前日に訪ねた大宰府政庁の「出先機関」でもありました。
前日、100名城スタンプをいただいた大野城跡も設置場所は大宰府展示館であり、今回は鴻臚館展示館。一般的に考える戦国時代の城よりもずっと前から重要な軍事拠点として整備されていたことを知る良いきっかけになりました。
出土品
建物の復元
鴻臚館展示館跡周辺の様子
写真右端が「鴻臚館展示館」左端は「福岡城むかし探訪館」。中央が球場跡です。
スタッフの方のお話では、写真中央に見える旧裁判所(既に移転済)を近々取り壊すにあたり、ここからもまだまだ出土するのではないかとのことです。もっといえば、この背後にある福岡城の遺構を掘り下げたらさらにすごいことが起きるかも!?
最近は静岡県でも駿府城の(徳川時代の)天守台跡から秀吉の部下が築城したと思われる金箔瓦など別の遺構が見つかったばかり。さらに掘ったら今川家の遺構が出るかも!?
(2017.5 駿府城天守台跡にて撮影)
珍しい「二重史跡」はどちらも必見
なお、ここは国指定の史跡「福岡城跡」の一角に「鴻臚館跡」が指定されるという二重史跡。国内でも珍しい史跡でもあるので、お城だけでなくぜひ古代にも思いを巡らしてみましょう。
この後は、もちろん福岡城跡を歩きます!
余談ですが、このブログではお城や神社など史跡めぐり好きの「歴女」な私ですが、実のところは自他共に認める歴史オンチでした。白状すると社会人になって大河ドラマに興味を示してからちょっとやる気が出ただけの「にわか歴女」です(-_-;)
あくまでもドラマベースでしか勉強していませんので、古代のことはいまだにわからないことだらけ。日本の成り立ちなどにはまったく興味がありませんでした。
そんな私が、たまたま書評を見て衝動買いした書籍がこちら。
第二次世界大戦を描いた「永遠のゼロ」の著者でもある百田尚樹氏の「日本国紀」です。
歴史書ではなく「小説」「エッセイ」のように読みやすい書籍で、日本の国の成り立ちから現代までが順を追ってわかりやすく解説されています。ちょうど福岡から帰って来たタイミングで読んだのですが、「あ~先に読んでいけばよかった」と後悔するほど九州(福岡)が日本という国の成り立ちに関して重要であるかがわかります。
近隣諸国に遠慮して真実を省く教科書や、学者が書いた小難しい書籍よりもはるかに面白く、そして日本人であることの素晴らしさと誇りを感じることのできる内容です。
そしてピリリとスパイスのように散りばめられている百田氏の個人的見解が何よりも興味深いです。
私のように学生時代は日本史は超つまらなくて挫折したというという方、幕末と戦国時代以外は興味ない、という方にもぜひ読んでいただきたい1冊です。