比叡山延暦寺が大改修中という記事に続いて、この記事にたどりついた方だけに、ちょっぴりマニアックな世界へお誘いいたします(笑)
みなさん工事中はお好きでしょうか?
道路工事の現場に出くわして車を停められたりすると”ちぇっ!”と思ったりするものですが(現場で働くみなさまごめんなさい、せっかちな人間なもので・・・)、一方でお店やビルなど新しく何かができそうな工事現場には「何ができるんだろう?」とワクワクしませんか?
世の中には、身近な工事現場以外に非日常的な工事現場があります。
それは新たに誕生する巨大建造物、そして国宝・重要文化財といった歴史的建造物の修復工事です。
私はそういった現場を見るのが大好きで、全国各地にそれ見たさにわざわざ出向くこともあります。
工事現場見学にはまったきっかけ
私が工事中の現場にはまるきっかけとなったのはダムです。
県内で新しいダム建設中に、現場担当の方が案内してくれるという企画がありました。
20代の頃に友達と参加したのですが、限定された人だけが入れる特別な空間にワクワク。また現場で働く方の説明なのでみなさん熱いんです。工事に携わっていることに誇りを持っていることも話ぶりからこちらにじわじわ伝わるのです。
これをきっかけにダムと大規模工事現場(道路や橋など)の世界にずぶずぶとはまっていくのでした(笑)
この先、何十年、いや何百年とそこの場所に変わらず存在し続ける建造物が、日々形を変えながら完成形に近づいていくのを見ることの楽しさといったら・・・もう毎日見ていたいくらいです。
また、国宝や重要文化財の大改修は50~60年に一度というのが多く、一生のうちに一度見られるか見られないかの貴重なシーンなのです。
生まれ変わったら巨大建造物の土木工事技術者か宮大工さんになりたい!と真剣に思ったくらいです。
次に来るのは「現場見学女子」!?
今や、男性がはまりやすい領域に踏み込んでいく、〇〇女子(スー女(相撲女子)、カープ女子(広島カープファン)、鉄女(鉄子)、歴女など)というのがトレンドになっています。
学問や仕事の分野では、リケジョ(理系女子)と同様にドボジョ(土木系女子)として活躍する女子はいるそうですが、私のように建設工事現場を見ることに喜びを感じる”現場見学女子”が次に来るかな~?
貴重な歴史の1ページ ”世紀の大工事”コレクション
今や世の中は社会見学ブーム。
国内では巨大建造物の建築や修復工事中にあえて現場を見せ、それを集客の対象にしているところも増えています。
ということで、私がこの10数年ほどで見てきた歴史の1ページをご紹介いたします。
姫路城(2009~2015年)
世界遺産の天守をすっぽり素屋根で覆って屋根の葺き替えや漆喰の塗り直しが行われました。建物は7階相当でエレベーター付き。
工事終了後には白鷺城を文字って、”白すぎ城”と揶揄されるほど真っ白に生まれ変わりました。
名古屋城本丸御殿(2009~2018年)
こちらは修復ではなく、戦前まで天守とともに現存していた本丸御殿を再建。
工期を3期に分けて、完成した建物と進行中の工事を並行して見せるという画期的な現場でした。
日光東照宮 (2013~2019年)
本殿と陽明門が改修されました。
陽明門では工事のために羽目板を外したところ、その下から217年ぶりに壁画が現れたことで話題になりました。
※ぶれまくりでスミマセン
日光山輪王寺 三仏堂(2007~2020年)
日光東照宮に隣接するお寺の本堂にあたる建物。私が行った時は、建物が解体され再び組み立てられようという状態でした。
そして、外部での修復作業が終わって戻って来たばかりの巨大な仏像が宙吊りされていたのにはビックリ。
それも見せちゃう?というほどの”現場丸出し”感に満ち溢れていました。
続いては、巨大すぎて素屋根に収まらない現場。無料で見られてラッキーでした。
東京スカイツリー(2012年完成)
高さ634mの東京スカイツリーができるまで、100メートル台の時から100メートルごとの節目に見に行ってました。
東京スカイツリーは外観の美しさを見てナンボだと思っているので、いまだにン千円も払ってタワーへ登ろうという気になりません(苦笑)
新東名高速道路(2012年静岡県/2016年愛知県区間 完成)
静岡県民にとっては世紀の大工事。東西に長い静岡県150km以上がすべて工事現場なのですから。
というわりには、中途半端に近いと行くのが面倒で、気が付いたら県内開通しちゃいまして(笑)、愛知県の工事現場にちょくちょく足を運び楽しませていただきました。
NEXCO中日本は公開イベントにも積極的で、県内数か所で開通前のウォーキングイベントが開催されました。
東の駿河湾沼津から始まり第2期の愛知県内も含め、(有料・無料含めて)4回も開通前イベントに参加しました。
続いてはワールド編
スペイン サグラダファミリア(1882年~)
世界的にもっとも有名で、かつ長期にわたる巨大建造物の工事現場といえばここ!
100年かかっても建設中。未完成ながらも世界遺産に登録されている巨大な教会です。
2014年当時は、正面の生誕のファサードは完成、受難のファサードが建設中、まだ1面はこれからといった状態でした。
全体の完成予定といわれる2026年にまでにもう一度”工事中”が見たいと思っていたのですが、あと数年は新型コロナウイルスのこんな状況が続くと思うと・・・
【追記】
(入場料収入で建設費が賄われるため)コロナ禍により工事の進捗が遅れています。
2026年には最大の尖塔「イエスの塔」が完成予定ですが、全体の完成予定は未定となっています。
ご紹介した工事現場はサグラダファミリア以外はほぼ完成(新東名高速は神奈川県内で工事継続中) しています。
しかし、今、あるいはこれから楽しめそうな建設現場がまだまだあるのでピックアップしてみました。
進行中・建設予定の世紀の大工事現場
厳島神社(広島県)
社殿と大鳥居の修復が行われています。
大鳥居は工事終了未定となっており、2020年12月現在工事用の覆いで囲われています。
2022年12月に工事が完了しました。
金閣寺(京都府)
現在、舎利殿(写真の建物)の屋根葺き替え工事が行われ、工事用の囲いに覆われています。工事終了は2020年12月の予定です。
2020年12月に工事が完了しました。
二条城 本丸御殿(京都府)
(写真は二の丸御殿)
2011年から2034年の長期にわたっての大改修のうち、現在は本丸御殿の工事が行われています。
nijo-jocastle.city.kyoto.lg.jp
弘前城(青森県)
石垣を修復するために、その上に建てられている天守(現存建造物)を曳屋で移動させるという方法をとったことが話題になっています。
現在、天守が本丸の中心にお引越し中。
天守が元の位置に戻るのは2025年度中の予定です。
【2021.9追記】 行ってきました!!!
名古屋城 天守
本丸御殿が完成した勢いで、天守も木造で再建する計画の名古屋城。
市長はやる気満々で2022年頃の完成を目指していましたが、石垣が危ないということで文化庁から「待った」がかかったため工事の予定は未定です。
2023年時点の発表では最短で2032年の完成を目指しているそうです。
いかがでしたでしょうか?
この記事を見て、こんなレアな場面は見ておかなくっちゃ損、と思っていただければ幸いです(笑)
この他にもまだまだ大小問わず建築や改修工事現場はありそうなので、情報収集をして全国行脚していきたいと思っております。