2020年9月の滋賀~京都1泊2日の旅の最終見学スポットは桂離宮。
皇族の別邸として江戸時代に造られ、広大な庭園と建物を有する雅な空間が広がります。現在は宮内庁が管理する施設となっています。
今までに皇居、京都御所、京都迎賓館など行ってみたい!と思い立って参観予約をすればたいていは希望どおり参観できたのですが、京都の2つの離宮(桂離宮と修学院離宮)はなかなか競争率が高く、ご縁がありませんでした。
コロナ禍が少し落ち着いた2020年9月下旬の参観です。
なお、予約についての詳細は記事の最後にまとめています。
桂離宮の概要
1615年に後陽成天皇の弟である八条宮初代・智仁(としひと)親王が別荘として創建した桂山荘がはじまり。二代・智忠(としただ)親王に前田利常の息女が嫁いだこともあり、前田家の支援のもと荒廃しかけていた山荘の復興が行われました。
約7万平方メートルの広大な敷地には、庭園が整備され、書院や新御殿など建物が整えられ、現在のような形になったのは1662年頃とされています。
八条宮家は代を重ねて名称を変えながら桂宮と改められましたが、1881年に宮家が途絶えます。その後は宮内庁が管理しており、予約制で参観が可能となっています。
桂離宮の場所と駐車場
西京区にあり、その名のとおり桂川に隣接しています。
今回は自家用車で京都に行き、嵐山に宿をとって観光をしましたので、そこからのアクセスは車で15分ほどと抜群でした。
駐車場は敷地の北側にあり、30台ほど停められます。
先着順ですが現在はコロナ渦で見学人数を縮小しているため、ほぼ心配なく停められます。
一方、公共交通機関は最寄り駅・バス停からいずれも徒歩15分以上かかるようなので、嵐山周辺(または京都駅)からはタクシー利用がおすすめです。
駐車場から集合場所へ行く間も立派な庭園(実はここが表門)で、その広さに驚いてしまいました(@_@)
受付から見学スタートまでの流れ
事前予約(Web予約とはがき申し込みなど)と当日受付があります。
私はWeb予約し、メールで送られてきた参観許可証を印刷して持参しました。
門が開くのは参観スタート時刻の約10分前です。
直前の時間帯の見学者との入れ替えとなります。屋外で待つことになりますので、暑さ寒さ対策は必要です。季節によってはギリギリまで自家用車で待つのもありかと。
そのまま参観者用待機施設へ入ります。マスク着用の上、入口で体温チェックと手指消毒もあります。
自動販売機で参観チケット(ひとり1000円)を購入し、チケットと身分証明を提示して受付が完了すると、参加証(終了後回収)やリーフレットを受け取ります。
奥のスペースで待つように案内されます。
映像案内の他、季節の写真展示、また参観記念品の販売コーナーもあります。
こちらは参観後にも立ち寄ることができますが、出口での分岐に注意です。
参観スタート
私が参加した時は、総勢30名ほどの参加者が4グループほどに分けられました。
私は早々に受付をしたので第1グループ。後続の人たちがまだ受付をしている中で、7名でのスタートとなりました。
今まで参加したものでは、皇居では1グループ100人近く(修学旅行生も一緒)でしたし、京都御所も40名くらいでしたので、今回は破格の少人数対応です。
桂離宮のようす
石畳ひとつとっても高貴な方々が歩きやすいようにとか、見た目の優雅さなどが考慮されています。アーチの橋の両脇には苔が植えられています。
御幸門
太いどっしりした柱は、実はコルク素材がとれるアベマキという木が使われていて手触りはソフト。
表門
御幸門からさらに外に続く門。 美しい紅葉が見られそうな雰囲気。
これらは、天皇をお招きする際に用いる特別な門。日常は別の門を利用していたようです。
外腰掛
この先にある茶室 松琴亭への控えとなる建物。
バリ島あたりで見かけそうな建物です(行ったことないけど・・・)
写真には写っていませんが左側に雪隠(トイレ)もついています。
この外腰掛から見える風景がこちら
まるでパッチワークのような石畳とその先には薩摩の島津家からの献上と伝わるソテツが植生されています。
このような建造物に実際に座って説明を聞き、壁や柱にも自由に触れることができたことは意外でした。
洲浜
白洲の浜を表現した池。奥の石橋は天橋立に見立てられています。
初代智仁天親王の奥様が宮津の出身であったことから再現された景色だそうです。
奥に見える建物(松琴亭)への石橋を渡ります。
石が多く配置されているので、足元には要注意です。
松琴亭
外観は素朴な茅葺入母屋造りですが、格の高い茶室で、室内は細部まで趣向が凝らされています。
青と白の市松模様の襖は、当時としては斬新なデザインです。
室内には暖房のための竈(かまど)が設置されています。
建物内に上がることはできませんが、写真撮影も自由。十分に内部を見ることかできます。
これら、桂離宮の建物は建築当初から焼失することもなく、ほぼそのままの形を維持しているそうです。
小高い丘に登ります。
石灯籠
ところどころに設置されている石燈籠は形がすべて異なるのでちょっとした宝探し気分に。
賞花亭
桂離宮の中でいちばん高い場所にある建物で「峠の茶屋」と呼ばれました。
しかし、こんな吹きさらしの建物で近年の暴風雨は大丈夫なのかしら?と心配です。
賞花亭の建物の前に咲き誇っていたのが萩(はぎ)。
紅葉には早い中で、唯一旬の花を見ることができました。
池越しに御殿も見えます。(空がもう少し青ければ・・・)
園林堂
桂離宮の中で、唯一の寺院建築。内部には観音像などが祀られていましたが現在は建物のみだそうです。
アーチ橋を渡り建物まで向かいました。
笑意軒
こちらも茶室です。
丸い窓やふすまの引手など遊び心あるデザインが見られます。
窓の向こうには水田風景が広がります。
景観を壊さないために周囲の土地を宮内庁で買い取り、地元の方により耕作が維持されているそうです。
書院(御輿寄)
建物への正面玄関であるこの場所は、石の配置なども細部まで緻密に構成されています。
(桂離宮が作られたのは江戸時代ですが)平安絵巻のような蹴鞠の風景が似合いそうです。
残念ながら書院内のようすは見学できませんでした。
月波楼
池に映る月を観るための建物。
天井は葦簀(よしず)を竹で支えた舟底天井になっています。
対岸から見る松琴亭
ガイド付きの見学はこれにて終了。ちょうどぴったり1時間でした。そのまま出口へと誘導されますが、記念品購入希望者(及びロッカーへ荷物を預けた人)は参観者用待機施設へ戻ることができます。
私は到着して早々、売店が空いている時にゆっくりお買い物したのでそのまま駐車場へ。
桂離宮参観記念グッズ
マスク(松琴亭の市松模様のふすまをモチーフにしたもの)と付箋を購入しました。
売店スペースもカウンターのみなので、ブックマーカーやはんかちなど軽くてかさばらないグッズが多い印象でした。写真集や書籍などを購入される場合は、ロッカーに預けるか、見学後に購入されることをおすすめします。
桂離宮見学のまとめ
私が参加した当時はコロナ禍で縮小されていたものの、1時間あたり30~40名ほどの定員でした。
この記事をアップする2021年2月現在は、冬のオフシーズンということもあり、さらに人数を絞っているので、マンツーマンのような案内をしていただけるかもしれません。
ただ、ガイドさんの当たりはずれは若干あるかも。私の担当の方は新人さん(他部署からの応援?)のようで、台本を読みながらの案内でした。緊張されている雰囲気だったので、ちょっと質問しにくかったな・・・
なお、写真撮影は特に禁止エリアもなく自由。時間もたっぷりあります。
ただしグループを離れての自由行動はできません。後方には扉を閉めたり全員が出たか確認する担当もついているのでマイペースというわけにもいきません。
そして、全体の見学はゆっくり進むので、ご年配の方でも参加は可能です。(年齢制限は中学生以上という制限のみあり)
しかし、記事内の写真でもおわかりのように石畳を歩いたり、石橋を渡ります。少しだけ丘も登ります。バリアフリーではありませんので、そのあたりを考慮した上で申し込みをお考え下さい。
参観予約について
ざっくり箇条書きにしてみました。詳細は公式サイトをご覧ください。
・宮内庁のホームページ、郵送(往復はがき)、窓口での申し込みがあります。
・予約開始日・・・希望日の3ヶ月前の1日から
・参観可能人数・・・1つの申し込みで4名まで
・年齢制限・・・中学生以上
・参観不可日・・・月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、年末年始
・タイムスケジュール・・・午前9時から午後3時までの毎時スタート
・定員・・・毎時10~15名(2021.2現在 コロナ対策のため縮小)
・所要時間・・・約1時間
・参観料・・・1000円
最後に
京都全般にいえますが、春の桜と紅葉シーズンは人気。ちょっとだけそのシーズンを外した新緑の5月や暑さが少しやわらぐ9月~10月にかけてが申し込みもしやすく、歩くのにもちょうどいいのではないかと思います。
なお、現在京都府には緊急事態宣言が出されています。京都府以外の方の訪問は十分に考慮ください。