2021年年明けとともに天守内の展示を60年ぶりに入れ替えてリニューアルオープンした浜松城。
1958(昭和33)年にコンクリート造りの模擬天守ができて以来、何もしてこなかったことがある意味驚きではありますが・・・
続100名城に選定されたこともあり、さすがにヤバいと思ったのでしょうか?
天守に行ったのは1月でしたが、その後見ごろを迎えた桜の季節にも再訪したのでその写真とあわせてご紹介します。
浜松城について
1570年、徳川家康が武田軍と対峙するために岡崎から遠江(とおとうみ)に進出して拠点としたのがこの地でした。
現在の浜松城(公園)のある少し東(現.元城町東照宮)にあった引間(ひくま・・・引馬とも表記)城が前身です。
引間城から数百メートル西の高台に築いたのが現在残る浜松城です。
通常は本丸の中心に天守台がありますが、浜松城は西端の一段高い場所に天守曲輪(くるわ)が独立しています。その東に本丸、二の丸、三の丸という配置です。
徳川家康が駿府城へ移封した後は、豊臣家家臣の堀尾氏が浜松城主となり石垣や天守などを改修したといわれています。
家康は、人生最大の敗戦といわれる三方原の戦いを経験しながら17年間この浜松で着実に力を伸ばしていきました。
また、江戸時代には古くから仕える譜代大名が城主を務め、その後幕府の要職に就いたことからのちに出世城とも呼ばれるようになりました。
天守へのルート
浜松城があるエリアは日本庭園や茶室もある浜松城公園として整備されています。
公園北側にある駐車場から天守に向かう道は散策に人気の石畳を歩くコース。
途中で石段を登る近道コースとそのまま緩やかな坂を進むコースの分岐があります。
石段を進んでいきました。
山城ではないので石段の数も知れているのですが、こちらを行く人が多いのは浜松人がせっかちなせいもあります(苦笑)
天守の北東から天守門をくぐって天守に入ります。
ゆるやかな歩道から進むと西側の埋門から天守へ(最後はちょっとした坂ですが・・・)
1年のうちでわずか10日前後しか見られない絶景に出会いました(^^)v
公共交通機関を利用または浜松駅から徒歩の場合は市役所の建物側(南)から登るルートになります。
ルートによって天守の見え方、石垣の様子も違うので、往復でルートを変えてみることをおすすめします。
浜松城内の建物
天守門
明治初期の廃城令で撤去されるまで現存していたという門が近年復元されました。
天守の入場券で内部の見学もできます。
天守(天守曲輪南から)
ここも浜松城の定番撮影スポット。右側の階段が天守への入口です。
浜松城天守内の展示
入場料は200円。
入口のビフォーアフターです
かつては色あせた年表や古地図、武具などがセンスなく無造作に並べられていました。
懐かしいポスター・・・大河ドラマ「江」では北大路欣也さんが家康役でしたね♡
リニューアルでモノクロ調の渋い展示空間になりました。解説も読みやすいです。
1階の展示
以前と比べればデザイン的には良くなったとはいえ、浜松城は徳川家康の城といいながら史料は少ないのです。
先日、愛媛県に行きましたが現存天守が2つもある上、城主や家臣に関連した甲冑や古文書など驚くほどの史料の展示に敗北感・・・
というわけで、浜松城は少ない史料を駆使しながら(泣)、甲冑のレプリカ、三方原合戦を紹介する映像、そして近年進んできた発掘調査の結果などを踏まえた展示となっています。
(館内の写真撮影は自由です)
2階の展示
発掘調査にもとづく出土品やその様子などが展示されています。
近年閉校になった元城小学校(二の丸跡)や社屋建て替え中の浜松いわた信用金庫(三の丸跡)などでの発掘も行われました。
また、浜松城は家康が築いた城として知られていますが、城の整備に関して忘れてはならないのが、家康のあとに城主となった堀尾吉晴です。
豊臣家の家臣として入城した堀尾氏は、石垣や天守を整備しています。
その後、堀尾氏は松江に移封となり、国宝ともなった松江城を築城しています。
発掘調査の結果なのか、あるいは松江城が国宝になったことで、浜松城でも堀尾氏の名前がよく出てくるようになりました。
公園内にもわかりやすい案内板ができました。
3階展望室
ここも天井が家紋で装飾されるなどきれいになっていました。
太平洋が広がる南方面ですが、高さが足りないのと高層の建物が多いのとで海までは見えません。
富士山も運が良ければ見えますが、私はここから見たことはありません。
井戸
天守内にも井戸がありますが行ってくるのをの忘れました・・・
なお、松江城には唯一現存する天守内井戸があるそうです。
浜松城最大のみどころ 「野面積みの石垣」
堀も埋められ、天守についても江戸時代初期までしか存在の記録が残っていない浜松城ですが、石垣だけは本物。
戦国時代後期(1590年頃)の素朴さが残る野面積みです。
一見もろそうに見える石垣ですが、奥が深くつくられているため、堅固で水はけもよい石垣なのです。
石の多くは、浜名湖周辺(舘山寺付近や湖西市)で採取された珪岩(けいがん)です。
今まで全国のお城をたくさん見てきましたが、都市部にある平城は江戸時代初期に築城されたものが多く、きれいに成型された石積みが多いのです。
市街地にありながら、まるで戦国時代の山城のような武骨な石垣が見られる浜松城は貴重かもしれません。
特に西側(埋門方向)の屏風折れといわれる石垣はマニアにおすすめ(笑)
ただし、石垣をがっつり見たい方は木々の葉が落ちる冬場にどうぞ。
浜松城の御城印とオリジナル御城印帳
通常の白い和紙に書かれたものもあります。
これらは天守内の1階売店で購入できます。家康公&家康くんグッズもあります。
また100名城スタンプは天守内(有料エリア)でないといただけませんのでご注意ください。
浜松城の場所と無料駐車場
浜松市の中心にあり、すぐ南には浜松市役所があります。
浜松駅から徒歩ですと20分くらいかかります。
政令指定都市ながらこの市中心の立地に無料の駐車場完備はありがたいです。
台数も100台以上あります。営業時間は8:00~21:30。(2021.4現在)
通常ならば週末でも余裕がありますが、桜の季節やイベント時は駐車場待ちの大渋滞になります。近隣にはコインパーキングも多数ありますので待てない方はそちらへ。
さらに、駐車場近くにスターバックスコーヒーももあります。
まとめ
地元ネタなので、いつになく記事に気合が入ってしまいました(^^;)
それにしてもよくもまあ60年も展示をそのままにしてやってきたもんだと思います。
そもそも戦国の歴史より、近代産業の発展を支えた偉人たちを推す町なので。
が、リニューアルを機に浜松城にも多くの方に足を運んでいただきたいと思います。
そしてなんといっても野面積みが残る石垣に注目です。
近年発掘調査や石垣の整備が行われていますが、「こんなに立派な石垣だったっけ?」と地元民も驚くほど変貌を遂げています。
天守内の展示を見て納得・・・
昔は天守の建物にちょこっと見えただけでした。そしてお城の隣には動物園もありました。「その頃の動物園に行ったことがある」というとおおよそ年がばれます(苦笑)
再来年(2023年)は嵐の松本潤さん主演で大河ドラマ「どうする家康」が放映されます。
タイトルから考えればいちばん苦難続きの時代、すなわち浜松が舞台か?と地元民は期待するわけですが・・・
どうなる浜松?
桜と「若き日の家康像」