静岡県磐田市にある古い歴史を持つ府八幡宮のご紹介です。
今年(2021年)1月と6月に行きましたのでそれぞれ季節のようすも交えてご紹介します。
【名 称】府八幡宮(ふはちまんぐう)
【主祭神】誉田別命(ほんだわけのみこと)
足仲彦命 (たらしなかひこのみこと)
気長足姫命(おきながたらしひめのみこと)
【創建年】8世紀頃(天平年間)
【創建者】桜井王
【文化財】楼門(県指定)、本殿、拝殿、中門(市指定)
【所在地】静岡県磐田市
名前の由来は「遠江国府」に創建された神社
この地が「国府」であったことを示しており、国府に鎮座する八幡宮「国府八幡宮」が略されて「府八幡宮」になったのが名称の由来といわれています。
奈良時代から平安時代にかけて律令制のもと、中央から日本各地に派遣された国司が政務を執る施設(国庁)が置かれたのが国府。周辺には寺(国分寺・国分尼寺)などもおかれました。
遠江国府としてこの地に赴任したのが天武天皇の曾孫である桜井王で、国家鎮護のために国府内に創建したと伝わります。
境内のようす
大鳥居
磐田駅に通じる車道に面した鳥居です。
周囲は市役所やNTTなど官庁街なのですが、鳥居の奥は木々に覆われていて一歩境内に入ると、その静けさに驚きます。
手水舎
コロナ禍なのでいろいろと対策が大変なようで・・・
しかし6月に行ったらこんなに美しく飾られていて感動しました(^^♪
楼門
江戸時代初期1635年に造られた大きな楼門。県の文化財に指定されています。
1月は新年の看板が立てられていましたが、6月は楼門を取り囲む木々の緑が新鮮でした。
昭和の大修理で創建時の状態に近い杮葺き(こけらぶき)に葺き替えられ、さらに今から2年ほど前には大掛かりな解体修理が終わったばかりです。
現在、旧遠江国(静岡県西部)最大の町は浜松市ですが、第二次世界大戦で空襲を受け市の中心にある木造建築はことごとく焼失しています。
一方でかつての”首都”である磐田市の中心部にこんな立派な江戸時代の木造建築が残っていたとは驚きました。
中門
拝殿の前に中門がある珍しいつくりです。
6月半ばに行った時には茅の輪(ちのわ)くぐりの大きな輪っかが設えられていました。
輪っかをくぐることで、無病息災や厄除けなどを祈願します。
くぐり方が書いてありましたが、お祈りのことばもあるんですね。楼門の前に用意されていたチラシに丁寧に説明されていましたが、帰りがけに見つけました(>_<)
地元の老人施設の方々が車いすに乗って職員さんとまわっているほのぼのした風景を眺めさせていただき、その後じっくりと私もくぐらせていただきました。
拝殿
見比べてみたら拝殿の前にスロープがあるのは「初詣」バージョンのようです。
本殿、拝殿、中門が市の文化財に指定されています。
本殿は江戸時代初期の建造。三間社流造となっています。
何度か社殿は建て替えられてきましたが、この時の願主は2代将軍・秀忠の娘である和子(まさこ=後の東福門院)だそうです。
末社など
本殿の奥へ進むと、このように摂社、末社のお社が並んでいます。風雨を避けるようにトタンの囲いの中にあります。
そして、それられとは独立して、境内の北西に立派なお社があるのを見逃してはなりません。
東照宮
鳥居は手作り感満載ですが・・・
社殿は立派ですよ~
祀られているのはご存知 徳川家康。
わざわざ「東照宮」という名を冠した神社に行かなくとも多くの神社に家康さんが祀られているお社があるのは”三河・遠江・駿河あるある”なのかなと最近気づきました。
この地との深い関わりは、徳川家康が鷹狩りなどに出かけた際の休憩場所とした「中泉御殿」があったことからもうかがえます(現在は御殿跡は公園のみです)
参拝後に楼門を出て左手にある社務所で御朱印をいただきました。
この塀がかなり危うい感じですが歴史を感じます。
小さな石碑に残された「神宮寺跡」という文字。明治時代に廃寺となりこの塀がその名残となっています。
境内地図
おおよそ境内の半分は歩きましたが、まだ右半分(ご神木のある場所)は未踏。これからの季節は木陰で良い散歩ができそうなので行ってみようと思います。
御朱印と御朱印帳
「見開きと片面どちらにしますか?」と聞かれ迷いましたがはじめてなので片面をお願いしました。けっこう時間がかかるな、と思っていたら・・・超カラフルです。
季節にあわせてスタンプの柄が変わるということを知り、再び出向いた次第です。
今まではこういう御朱印は好きではなかったのですが、神社の雰囲気(環境も神職の方も)がとても良いのですっかり気に入ってしまいました。
ということで2回目の参拝で御朱印帳もいただいてきました。
磐田市のゆるキャラまで参加していますが(笑)、刺繍たっぷりのカラフルな御朱印帳です。こちらはクリーム色ですが、色違いでピンクとブルーもありました。
なお、初回はこのようなご朱印とは知らず参拝後に御朱印をお願いしました。2回目に行った時に楼門のところに「先に御朱印帳を預けてください」という案内を見つけました。
お詣りもせずに御朱印を先にいただくのは失礼だと思ってしまうのですが、神社側で案内していただけると時間も有効に使えます。
そしてせっかくここまで来たので、かつての国の中心に行ってみました。
史跡 遠江国分寺跡
なんだか建物があったようですが取り壊し中。それ以外は広場のような感じでした。
柵があって奥まで進めなかったので今回はここまで。
金堂・講堂・廻廊・南大門という構成を見ると、「ミニ法隆寺」みたいな感じでしょうかね?
最近できたこのお堂が何か関係あるのかもしれませんが、よくわかりませんでした。
これはまた工事が終わったらリベンジです。
府八幡宮の場所と駐車場
境内に隣接して数台の駐車場もあります。
まとめ
浜松のお隣ですが仕事や所用では行くことがあってもわざわざ観光や寺社参拝に行くことはない町でした。改めて行ってみると歴史の深さに感じ入るものがあり、再発見だらけでした。
府八幡宮の境内は環境も素晴らしく、落ち着ける場所です。
また、今回の訪問で「国府」というのがかなり気になりました。かつて国府が起かれた町と現在のその地域の中心となる都市は異なっていたりします(尾張国は稲沢市、美濃国は大垣市、伊勢国は鈴鹿市など)。国分寺や国府という地名がそのまま残る場所も多々あり、これらの歴史を追うのもおもしろそうです。