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【今しか見られない!世紀の大工事】天守がお引越し中の弘前城(前編)

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2021年7月の函館~青森旅行記です。

江戸時代に建造された天守が、”石垣の上から移動中”という前代未聞の現場が見られる弘前城を訪ねました。

www.momoyorozu.net

 

最終日に訪ねたのは今だけの特別感たっぷりの弘前城。

私は何よりも巨大建造物の工事中が大好きなのですが、お城が動くという今まで見たことがない現場に大興奮です。

 

弘前城について

南部氏が治める盛岡藩から独立した弘前藩 初代藩主 津軽為信(ためのぶ)が1603年に計画し、二代藩主 信枚(のぶひら)が 1611(慶長16)年に完成させました。

以後260年にわたって津軽氏が治めた弘前藩(津軽藩とも呼ばれる)の政治の中心です。

築城当時、5層の天守が築かれましたが、落雷により焼失。

その後、蝦夷地警備の功績が認められて1810年に隅櫓の改築を理由に造られたのが現在残る天守(重要文化財)です。 

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(2009.10撮影)

天守の他にも櫓や門など多くの建造物が現存し、弘前公園全域は日本屈指の桜の名所として多くの人が訪れる公園となっています。

 

100年ぶりの石垣修復工事で天守移動中

弘前城では天守のある東面の石垣に孕み(はらみ)があり、崩落する危険性があるため、2015(平成27)から石垣の解体修理が行われています。

(なお、冒頭の写真で石垣の孕みを確認することができます)

この工事にあたり、石垣の上にあった天守を移動する必要があり、それを曳家(ひきや=建物を解体せずに移動する工法)によって約70メートル移動させることで話題になりました。

 

地上に降りた天守

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弘前公園を歩く

弘前公園案内図

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案内図左端にある追手門から入り、本丸、北の郭(有料エリア)を巡り、東門から出るというルートをたどりました。

もちろん”地上に降りた天守"と石垣の工事の様子を見るだけでも十分に見どころはあるのですが、はるばる青森まで出かけたのでここはしっかり隅々まで。

弘前城は天守の他に、櫓や門など江戸時代から現存する重要文化財の建造物が多いのも特徴です。ほとんど都市化されずに四の丸までの範囲が保存維持されています。

所要は約2時間でした。(私は写真撮影で立ち止まったり資料展示を見る時間が長いです)

 

追手門(重要文化財)

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外堀から城内(三の丸)に入るための門です。

三の丸には、市民会館や図書館もあります。中堀に向かっていきます。

石垣修復工事の紹介パネル

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杉の大橋

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中堀にかかる橋。桜や紅葉も良いと思いますが、緑だからこそ橋の朱色が映えます。

南内門(重要文化財)

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この先は二の丸になります。 

この門をはさんで、2つの櫓が現存しています。未申櫓と辰巳櫓です。

辰巳櫓(重要文化財)

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未申櫓は多分撮影し忘れたと思われ、こちらは辰巳櫓です。

もうひとつそっくりな櫓があります。多分マニアではない限り違いはわかりません(笑)

二の丸馬場

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中堀に沿って作られている直線コース。 

弘前城情報館

馬場と下乗橋の間にあります。

スタッフさんも常駐しているようで、弘前城に関する情報を得られる他、100名城スタンプもこちらでいただけます。(スタンプは天守内にもあります)

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下乗橋

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内堀にかかる橋で、この橋を渡った先が本丸です。

 

この橋は、弘前城の絶景写真を構成する要素にもなっています。

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写真はイラストACより

 

ところが、現在ここから見える風景といえば・・・

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天守もなければ、石垣もなく、堀も埋め立てられてしまい、目の前には壮大な足場しか見えないという THE工事中な風景でした。

ホントはこういうタイミングでここに来たかったのですが・・・

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写真は 公益社団法人 弘前観光コンベンション協会 のサイトよりお借りしました。 

 

石垣の工事状況は?天守はいつ戻るの?

2021年7月の石垣修復工事の状況は上記の写真のような感じです。

3年ほどかけて解体された石垣は、天守土台などの発掘調査を終え、6月末からようやく積み直しがはじまったばかりです。

当初は今年度中に天守が元の位置に戻る予定でしたが、さらなる耐震補強が必要になったことや、コロナ禍での作業などにより大幅に工程が変更されています。

 

2021年7月の情報では、天守が戻るのは早くても 2025年度となっていました。

(さらにその後、天守の耐震補強や保存修理が行われる予定)

 

工事展望台からの風景(2021年7月)

天守は有料エリアにありますが、石垣修復工事を見るだけなら無料エリアからでも可能。

東面に展望用の通路が整備されています。(近所なら毎月行きたい!)

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写真内の石は栗石(ぐりいし=裏込め石とも言う)です。

通常表面にある積み石と土台の盛り土の間にこのような石がたくさん詰められています。

こちらでは職人さんたちが石を水洗いした後、大きさを振り分けていました。

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石垣修復では、番号を振られた積み石を再び同じ位置に戻します。表面の石積みまでにはもう少し時間がかかりそうです。

解体された積み石は別のところに並べられていたそうですが、残念ながらその現場を確認はできませんでした。

 

下の写真は福島県 白河小峰城での石垣修復時の積み石のようす

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どんどんマニアックな工事現場レポートになってしまいそうなのでこの辺りで(苦笑)

ここから先は有料エリアへ向かいます。

 

弘前公園の有料エリアについて

本丸北の郭のみが有料エリアとなります。

仮住まい(引っ越し中)の天守を見たい場合(内部見学も可)は有料エリアへのチケットが必要です。

下乗橋を渡った先にチケット売り場(南口券売所)があります。

チケット売り場はこの他に東口と西口にもあります。

入場料はおとな320円です。

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有料エリアのようすについては次の記事へ続きます。

 

www.hirosakipark.jp

 

★石垣修復に関する詳細はこちらで確認できます

弘前城本丸石垣修理事業(弘前市のサイト内へリンクします)

 

★現在こちらでも「今だけ」の特別な現場が見られます。 

www.momoyorozu.net