2022年4月から長野市の善光寺で7年に1度の御開帳(コロナ禍のために1年遅れの開催)がはじまりました。
貴重な機会なのでぜひ!と思いましたが長野市までは遠い・・・そこで訪ねたのは南信州の飯田市にある「元善光寺」です。この名前にも何か理由がありそうです。
私はこの御開帳のことを2021年末に訪ねた甲斐善光寺で知りました。
善光寺の御開帳とは
仏教寺院で厨子等に収められている秘仏の扉を開いて拝観できるようにする宗教行事のことを御開帳(ごかいちょう)といいます。
ただし、長野(信濃)善光寺では、御本尊である一光三尊阿弥陀如来は、絶対秘仏とされ、住職ですら目にすることが許されていません。
そこで、御本尊の身代わりとして造られた前立本尊を七年に一度拝むことができるのがこの御開帳とされ、多くの参詣客でにぎわいます。
期間は、2022年4月3日(日)~6月29日(水)の88日間となっています。
【2022.8.14追加】
2022年の御開帳は終了しました。
とても御利益がありそうですし、そもそも善光寺詣りというものをしたことがないのでこの機会に行きたいと思いつつも・・・
地図上ではわが家から長野市まで北へ一直線なのですが、なにせまっすぐに道がつながっていないので、車で東京や京都に行くより不便で遠いのです。
東西に長すぎる!と他県の方から文句言われがちな静岡県ですが、南北に長い長野県もどうかと思いますよ、ほんと。
そんな時に周辺の5つの善光寺が同時に御開帳することを知りました。
六善光寺同時御開帳
全国には善光寺と名乗るお寺は200近くあるそうです。
その中で六善光寺(長野善光寺含む)と名乗る下記の寺院が同時に御開帳を行います。
・元善光寺(長野県飯田市)
・甲斐善光寺(山梨県甲府市)
・祖父江善光寺東海別院(愛知県稲沢市)
・関善光寺(岐阜県関市)
・岐阜善光寺(岐阜県岐阜市)
※地図は六善光寺同時御開帳 |よりお借りしました
地図を見ると、ほぼすべて我が家から同じくらいの距離ではありませんか!
近年、高速道路もつながってどこも日帰り楽勝コースです。
その中で目に留まったのは、善光寺よりさらに歴史が古い「元」がつく善光寺。
飯田市なら比較的走りやすい一般道あるいは一部開通している三遠南信道でも行けますし、気になっていたとある史跡を経由していけそうなのです。
思いたったが吉日! GW前半の”THE 行楽日和”なお天気のもと、日帰りで行ってまいりました。
元善光寺について
元とつくのには理由があります。
その起源は、602年にこの地(麻績-おみ-の里)に住んでいた本多善光という人が、難波の堀江(現在の大阪市)で、一光三尊如来像を見つけて持ち帰って祀ったのがはじまりです。
この仏像はインドから百済、そして日本へ渡ってきましたが、当時は入ってきたばかりの仏教を否定する物部(もののべ)氏により堀に埋められてしまっていたのでした。
それから数十年後に阿弥陀如来のお告げに従って現在の善光寺に遷されることになり、現在に至ります。(16世紀中頃に、武田信玄に略奪!?され、40年ほど全国を旅することになりましたが・・・)
善光寺の寺院名は、この本多善光の名前が由来となっています。
かつて御本尊が置かれていた寺院は「坐光寺」その後「元善光寺」となります。
【名 称】定額山 元善光寺
【ご本尊】善光寺如来
【創建年】伝・602(推古天皇10)年
【開 基】伝・本多善光
【所在地】長野県飯田市
なお、現在元善光寺にある御本尊は、本多善光が自ら(長野に遷した)御本尊と同じ大きさで霊木を彫って作ったものであるとされています。
元善光寺の境内
階段と山門
段差の低い階段で全部で50~60段くらいでしょうか。
(実はこの半月ほど前に身延山久遠寺に行ってきたばかりなのでギャップがすごい)
境内はとてもコンパクトです。
鐘楼
本堂
本堂前には回向柱(えこうばしら)が建っています。
回向柱は卒塔婆の一種だそうで、ここに結ばれている五色の糸(善の綱)は前立本尊の指と結ばれているので、この回向柱に触れば御利益があるといわれます。
元善光寺の回向柱は4メートルとのことですが、善光寺は10メートルもの回向柱が建っているそうです。
本堂への入口の扁額には「本多善光誕生霊地」と書かれています。
本堂内に上がって間近でキラキラ輝く前立御本尊を拝むことができました。
なんと拝観料は無料となっています。
GWの期間中なので混雑覚悟で行った私は、まさかこんなにゆったりと参拝できるとは思っていなかったので拍子抜けしたくらいですが、実はこの翌日に中日大祭という行事が控えていました。
また、本堂から出て帰ろうとする頃にじわじわと人がわいてきましたよ。
本堂に上がらずに帰ってしまう方も見受けられましたが、7年に一度の貴重な機会なので、少し待ち時間があったとしても本堂に上がってお詣りしましょう!
そして元善光寺でもお戒壇巡りが体験できます。
お戒壇巡りとは、真っ暗闇の中を進んで錠前に触れると、ご本尊様と結縁ができて極楽浄土に行くことができるといわれています。
コロナ感染対策で間隔を開いて案内しているとのことで、行列ができていましたのでパスしましたが、こちらも無料でした。
宝物館
唯一こちらは有料となっています。(おとな500円)
境内はコンパクトなのでお詣りだけなら30分もあれば十分かと思います。
御開帳の期間中、平日ならばスムーズにお詣りできるのではないかと思います。
かわいらしいお地蔵さんが境内のあちこちにいますので、見つけてくださいね。
元善光寺の御朱印
本堂入口左側(御守授与所)でいただきました。
御朱印帳を先に預けてから本堂内をお詣りするとスムーズかと思います。
御開帳記念のお菓子
御札授与所で販売されていた御開帳記念のお菓子を購入しました。
「後生楽」という名は、これからの人生楽しく過ごすことができるという縁起物のようです。
麦こがしの風味とメレンゲが合体した和洋折衷のくちどけの良いお菓子でしたよ。
元善光寺の駐車場
無料駐車場が階段のすぐ横にあります。お寺全体では100台ほど用意されているようです。
坂を上った先にも駐車場もあり、そちらなら山門まで階段をワープできます。
御開帳期間中は駐車場警備スタッフさんの指示にしたがいましょう。
まとめ
比較的小規模のお寺ですが、そんなに混雑もしないので、善光寺御開帳やお戒壇巡りなどの雰囲気を味わってみたいという善光寺初心者にもおすすめです。
いただいたパンフレットにこんな句が書いてありました。
一度 詣れよ 元善光寺
善光寺だけでは 片詣り
今年は元善光寺のみのお詣りとなりましたが、7年後にはぜひ本家・長野の善光寺にも行けたらいいなと思っています。
(御開帳に限らず機会があればもっと早く行ってみたいですけどね)
次は(通常のサイクルでは)7年後ですが、今回は1年遅れでの開催でしたので、実際のところどうなるのかわかりません。
そして、伊勢神宮もそうですが、もともとその寺社が置かれていた場所(伊勢神宮の内宮の原型といわれる瀧原宮がそれにあたります)には、やはりそれなりにワケがあり、良いパワーを秘めているのではないかと感じたのでした。