2024年7月、令和の大改修が進められている比叡山延暦寺を4年ぶりに訪ねました。
工事は着々と進み、柱などの塗装や屋根の銅板葺きが進んでいました。
工事用の建屋(素屋根)内の様子を ビフォーアフターでお伝えします。
多くの方にアクセスをいただいている2020年のようすはこちら
狙っていっているわけではありませんが、タイミングよく4年ごと(オリンピックより正確)、そしてなぜか夏に行きたくなる延暦寺(;^_^A
春や秋の観光シーズンの混雑を避けてじっくり拝観したい方にはおすすめです。
今回は電車やケーブルカーを乗り継いで行きました。
国宝 根本中堂は60年ぶりの改修中
延暦寺は、比叡山の中に多くの建物が点在していますが、中でも重要な建造物や現代の管理施設が集まる中心となっているのが東塔(とうどう)エリアです。
その中でも根本中堂(こんぽんちゅうどう)は、本堂にあたる重要な建物です。
いわば延暦寺随一のお堂ともいえる根本中堂(国宝)とそれをつなぐ回廊(重要文化財)で、60年ぶりの大改修が行われています。
本来の姿はこちら
2016年8月撮影
これらの建物をすっぽり覆う形で工事用の建屋が造られ作業が進められています。
しかし、工事期間中にも根本中堂の拝観が可能となっており、さらに工事が進む様子を間近で見学できるようになっています。
工事期間は当初2016(平成28)~2026(令和8)年度の10年間とされています。
拝観について
チケット売場で拝観券を購入します。
バス停や駐車場から歩いてすぐ。売店や食堂、おみやげ店も近くにあります。
拝観料はおとな1000円(国宝殿は別途500円)です。
WEBでのチケット購入もできますが、特に割引はありません。
拝観券では東塔エリアに加え、西塔(さいとう)、横川(よかわ)エリアすべてが拝観可能です。
前回2020年に値上がりしていたので、今回はお値段据え置き。
最近、国宝の姫路城や松本城の値上げや外国人観光客との二重価格が取り沙汰されていますが、今後どうなるのでしょうか?
東塔の境内
入口から続く参道(ゆるい坂道)には仏教の歴史や著名な僧侶の解説板があります。
延暦寺は天台宗のお寺ですが、現在にも続く各宗派の開祖たちはここからスタートしています。
徳川家のブレーンでもあった天海僧正も天台宗の僧侶です。
その人生、107歳ですよ! ヒェ~(寒いダジャレでスミマセン)
その先には、天台宗の開祖 最澄のことばをスローガンとする石碑があります。
坂を登りきると鮮やかな色の建物が見えてきます。
鐘楼や大講堂などを見ながら進んでいきます。
根本中堂の大きな石碑を目印に坂を下ります。
根本中堂素屋根
この工場のような建物の中に、すっぽりと根本中堂と回廊が入っています。
外観は前回同様。唐門風の庇(ひさし)が特徴的です。
工事についての解説パネルが入口の両脇にあります。
ここで間違えてはいけないのが 延暦寺は京都府ではなく滋賀県にあります。
滋賀県にも歴史ある立派な寺社が多いので、オーバーツーリズム気味な京都は避けたいという方、個人的に滋賀県オススメです。
いよいよ素屋根の中へ
前回とは大きく違ったのがにおいです。塗料のにおいがプンプンしています。
それもそのはず。
真っ赤に塗られているのは回廊の建物。
伝統的な原材料を使って新たに塗り直されています。においに敏感な方はマスクがあったほうが良いかもしれません。
こちらは2016年
本来はこの回廊を歩いて本堂に向かうのですが、工事中期間は本堂へ直進となります。
靴を脱いで建屋内に入ります。
スリッパはないので夏場でも靴下を履いていくことをおすすめします。
私は直進せずに左に曲がってこちらの階段へ。
素屋根内部「修学ステージ」から現場を見る
階段を上ると広いスペースがあり、間近に工事中の建物を見下ろすことができます。
モニターで工事の様子が放映されていたり、書道の作品展示がありました。
建屋が立派過ぎて(工事のため必要な構造とはわかっています)よく見えないのが残念。
そんな中で、なんとかカメラに収めてみました。
根本中堂の屋根
銅板屋根は(酸化して)青くなっているものを見ることの方が断然多く、これだけの規模でピカピカに輝いているものを見るのは初めてです。
その数なんと!28000枚。
こちらは4年前。銅板がはがされた直後でした。
すでに締め切られていますが銅板屋根は寄付でまかなわれています。
このステージは、回廊と根本中堂の間に位置しています。
反対側が回廊の部分です。
回廊の屋根
2020年には屋根の木組みが見えている状態でしたが・・・
小さい板が何重にもなって貼られています。
こちらが貼る前の材料。
とち葺きと呼ばれるもので、使われている木材は木曽の「さわら」とのこと。
ヒノキよりやわらかく加工しやすいのが特徴だそうです。
そして、よく見るとすべてが新しい木ではありません。
文化財などの伝統建造物は、生かせる材料は補修して使っていくというルールがあるそうです。
そして唐破風(からはふ)の屋根の形もできあがってきています。
修復前はこのような色でしたが、彫刻や瓦などもピカピカに蘇ることでしょう。
いずれも瓦(屋根葺き)、彫刻、塗装など伝統の職人技が結集されています。
職人さんたちの作業の様子を見たかったのですが訪問したのは日曜日。平日ならば作業が見られるかもしれません。
また、公式サイトの情報では、通常非公開部分も見られる「根本中堂改修現場見学会」があるそうです。
私のような工事現場好き♡や伝統建築に興味のある方はぜひ。
工事が進む様子を見てハイテンションになりましたが、その後は、心を落ち着けて本堂を参拝しました。
「不滅の法灯」が灯る唯一無二の根本中堂の祭壇は、言葉では伝えにくいのですが、とても神秘的です。
現場をより楽しく「根本中堂AR・VRアプリ」
本堂内の撮影は禁止ですが、アプリ「根本中堂AR・VRアプリ」では建物内に入ったような疑似体験ができます。お出かけ前の予習にオススメです。
また、現地限定で工事のようすを重ね合わせたリンクも楽しめます。
素屋根正面の階段上(文珠楼がある場所)から工事現場のようす
スマホのアプリを通して見ると新しくなった建物のイメージが現れますよ。
公式サイト
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