昨年訪ねた工場見学です。
静岡県民の私にとってそれは、名古屋のデパートや駅で見かける不思議なみやげものでした。
とぐろを巻いたお漬物が丸い容器に詰められています。なんとなく奈良漬けっぽいけど 守口漬け と書いてあります。守口って大阪じゃないの?? ますますわかりません。
とはいえ、けっこういいお値段なので衝動買いというわけにもいかず、謎のままン十年。
参考:壽俵屋オンラインショップ
そんな守口漬けの工場を団体ツアーで訪ねる機会があり、その謎がすっきり解けました。
さらには漬物なのに美味しい創作グルメまで楽しむことができ、すっかり守口漬け大好き♡になってしまいました。
産地に工場を構える壽俵屋さんの工場見学
今回お世話になったのは、愛知県扶桑(ふそう)町にある扶桑守口食品さん。
無料で工場(工房)見学ができます。隣にはお買い物ができる直売店があります。
またこちらでは予約制で漬け込み体験などもできるそうです。
「守口漬け」って何?
守口漬けは、守口大根という野菜を酒粕(かす)に漬けた漬物です。
あまり聞いたことのない大根ですが、直径2~3センチ、長さは1.2メートルほどの細い大根です。ギネスものは約2メートル。
木曽川の肥沃な堆積土の広がる扶桑町をはじめとした愛知県、岐阜県の限られた地域でのみ収穫される大根で用途は漬物のみだそうです。
収穫時期は冬から春にかけての12~3月。それ以外の時には二毛作で牛蒡(ごぼう)が栽培されるのだそうです。
秀吉が称賛した守口の漬物が発祥
守口といえば大阪ですが、元々はその守口で栽培されご当地の漬物として提供されていたそうです。豊臣秀吉が守口付近で休憩をとった時に口にし、その味を称賛したことからこの名前で呼ばれるようになったそうです。しかし、現在では発祥の地での守口漬けは廃れてしまい、それに代わって明治以降、岐阜と愛知で守口漬けが作られるようになります。
奈良漬と守口漬けの関係
奈良漬けは酒粕(さけかす)に漬けた漬物全般を指します。
日本古来の漬物であり伝統食です。この守口漬けも奈良漬けの一種であり、使う素材から守口漬けと呼ばれています。ただ、みりん粕を使うなど製法にも独特の工夫があります。
守口大根の生産地 扶桑町
愛知県北西部にあり木曽川をはさんで岐阜県と接しています。かつては養蚕が盛んだった町で、町の名前は蚕の餌でもある桑畑が多かったことに由来しています。
守口漬けを販売する会社は名古屋を中心に数社ありますが、こちらの扶桑守口食品さんは唯一、材料の産地に工場を構えています。産地に密着というのがいいですね。
工場見学へGO
座学の後は工場内へ。衛生のため紙の帽子着用です。
子どもにもわかりやすいように通路の壁には図表入の説明書き貼られています。
手作業の製造工程を見学
収穫後すぐに塩漬けした後、酒粕に何度も漬け直しながら塩分を減らしていきます。なんと2年で5回も漬け直すそうです。国産の材料を使い、これだけ手間暇かけて漬けていたらあのお値段も納得です。
ちなみに製品になる頃には塩分は4%。梅干しよりも随分低塩です。またみりん粕を配合することでとてもまろやかな味になります。地元では、学校給食にも出されるほどです。
直売店でいろいろ試食してみた!
座学でも試食がありましたが、こちらでは守口大根以外のお漬物も豊富に揃っています。
これらは「奈良漬け」です。
シャキっとした歯ごたえと甘み&塩分のバラスンが絶妙。これで白いご飯か日本酒があれば最高だな・・・と思いつつ食べまくり(笑)
この他に守口漬の入ったアイスやパウンドケーキなどの洋菓子も販売されています。
ずっと気になっていたとぐろを巻いたパッケージを購入しようか迷いましたが・・・
袋入りの長い1本もの(袋が1メートルくらいありました)と生姜漬けを買いました~ どれも”ご飯がススムくん”でしたよ\( 'ω')/
この後、桜満開の犬山城下へ移動です。(今回は登城していません)
犬山の城下町で守口漬食べ歩きグルメを満喫
国宝・犬山城だけあって城下町もとてもにぎわっています。飲食店も多く、食べ歩きグルメも充実していています。
今回は工場見学の流れで(特に優遇があったわけではないのですが)、壽俵屋さんの展開するお店で、守口漬けの創作グルメを攻めてみました。
壽俵屋犬山井上邸で「醤油おこげ串」
とてもわかりやすいオブジェが目印(笑)
カレー味とか明太マヨネーズなんていうのもありますが、やっぱり王道は醤油味でしょ。
見た目は”つくね”な感じで案外地味です(苦笑)
焼きおにぎりと守口漬の串刺しです。お漬物のひとつ白いものは「鮮味漬」という浅漬けで、12月から4月の間しか販売されていないものです。
シーズン最後駆け込みセーフで鮮味漬もお買い上げ~
しかしこれだけじゃお腹は満たされません。
というわけでもう一店舗をはしご。
壽俵屋犬山庵で「スパイシーDog Mountain和バーガー」
こちらも扶桑守口食品さんのプロデュースするお店です。さきほどの井上邸から50メートルくらいのところにあります。
注文してから10分ほど待ちました。店内にもイートインスペースはあったのですが、バスの集合時間が迫っていたのでテイクアウトです。
写真どおりに再現されています!(これって意外にも感動します)
トマト、チーズ、ハム、きゅうり、大葉、守口漬けがサンドされ、からしマヨネーズがアクセントとなり一体化。和洋の組み合わせなのにすごく合うんです。美味しい~♡
コスパ良し、というかお値段以上でした。これ考えた人に拍手を送りたいです。
日本の伝統食である奈良漬け(酒粕のお漬物)を味わえる工場見学&食べ歩きおすすめです。
すっかりお腹も満たされ次の見学地(≠お城)に向かったのでした~