2018年7月に訪ねた名古屋城と本丸御殿のご紹介です。
金のシャチホコが輝く天守閣のイメージが強い名古屋城ですが、この度、10年の歳月をかけた本丸御殿が当時の姿に復元されました。
名古屋城の歴史
国宝に指定されながらも第二次世界大戦で焼失
名古屋城は、徳川家康による天下普請として1612年頃に完成。
また、それに隣接して尾張徳川家の住居・政庁として1615年に建築されたのが本丸御殿です。
300年以上大切に保存され、昭和初期には城郭建築として国宝第1号号にも指定されていました。
その規模も姫路城をしのぐほどでしたが、第二次世界大戦の戦火により焼失。
私たちの知る名古屋城は、戦後再建されたコンクリート天守閣で、エレベーターもついていました(過去形なのは現在登城できないため)
本丸御殿は焼失後、長年再建されることなく年月が経過していましたが、この度復元が実現しました。
写真手前が本丸御殿の建物です。
名古屋城本丸御殿の復元
緻密な図面や写真が残る名古屋城
名古屋城の建造物が他の城郭と違うのは、戦前まで現存していたこともあり、緻密に測量され、記録された図面や写真が多く残されていること。
さらに戦火の直前に”疎開”させていた御殿の襖などの文化財の多くが現存しているということです。
特別展開催時に購入した図録
3期10年に渡る復元工事でよみがえった本丸御殿
残されていた図面などの史料に基づいて木造の本丸御殿が再建されました。
その多くは、市民や企業からの募金です。
”尾張名古屋は城で持つ” という言葉どおり、市民がお城に注ぐ熱意はすごいものがあり、私は名古屋市民がうらやましいです。
2009年から行われた工事は、今回の上洛殿完成によりすべて復元されたことになります。
この本丸御殿の復元工事は、常に工事現場を公開してくれていましたので、工事中大好きな私は何度かその現場に足を運び、工事の進捗をこの目で見て楽しませていただきました。
そのようすを写真で振り返ります。
2010年12月撮影
素屋根の奥(御深井丸エリア)にある建物では、木材加工のようすがガラス越しで見学できました。
2013年1月撮影
玄関の外観が見え始めました。
2013年5月撮影
2016年10月撮影
部材の名称も掲示されています。
行くたびに素屋根の位置が拡大したり移動したりして、工事が続いていきました。
完成した部分から順次公開され(第1期2013年5月、第2期2016年5月)、このたび2018年6月に第3期の工事完了をもってすべてが完成しました。
約2ヶ月遅れてしまいましたが、全容を見てまいりました。
名古屋城散策から本丸御殿へ
名古屋城は正門と東門の2ヶ所から入城できます。
私は地下鉄利用のためほとんど東門から入城しています。
東門から名古屋城へ
こちらの門の前でチケットを購入。おとな500円です。
天守閣には入れなくなりましたが入場料は据え置きです。本丸御殿が完成しているのでそれ相応の料金だと思います。
この日は、猛暑を超えた”酷暑”(正午前で36度でした)ということもあり観光客は少なめです。
今回は本丸御殿を少しでも早く見たくて訪ねましたが、名古屋の暑さはハンパないので真夏は基本行きたくありません。
石垣を見たり城内全体を歩きたい方は夏は避け、春・秋をオススメします。
このあたりはかつての二の丸で、現在は庭園や茶室などがあります。
写真右の建物は重要文化財の東南隅櫓。
名古屋城の石垣と内堀
お堀には水がありません。しかし石垣は天下普請だけあって(全国の大名たちが連れてきた職人たちの)様々な石組みを見ることができます。まさに石垣の”競演”
天下普請の石垣を楽しみたい方は、名古屋、駿府、江戸城がオススメです。
加藤清正石曳きの像
築城の名手とも言われる加藤清正の最高傑作は熊本城ですが、この名古屋城の築城にも関わっています。
城内の石垣にはこの先、「清正石」を見ることができます。
表二之門(重要文化財)
天守閣や御殿は焼失しましたが、門や櫓など戦火を逃れたいくつかの建造物があり、重要文化財に指定されています。
門を入ってすぐに石垣に突き当り、枡形になったルートを進むと本丸御殿です。
角を曲がると本丸御殿が現れます。この部分は2013年に完成したものです。
混雑状況によってはこの辺りまで並ぶようですが、平日でしたので入場待ちはありません。(10分も並んだら熱中症になりそうな暑さでしたのでホッ)
完成した本丸御殿
本丸御殿玄関と車寄せ
奥まで建物が完成しているのが見えただけでも感動します。
2016年10月に訪ねた時は、まだ素屋根の中での工事中でした。
また、本丸御殿の先に天守閣が見える風景もお初かも!?
なお、こちらは当時の玄関で、私たちがここから入ることはできません。
見学者は玄関正面向かって右側を進んで入口に進みます。
見学ルート入口
見学者下駄箱
御殿内は土足厳禁。鍵付きの立派な下駄箱が用意されています。
スリッパも用意されていますが、靴下を履いていればそのまま歩く方が歩きやすいと思います。
いざ、本丸御殿内部へ参上です!