2018年7月に訪ねた名古屋城 つづきです。
いよいよ本丸御殿の最奥にある上洛殿へ向かいます。 (やっと・・・です)
第3期工事部分(2018年6月より公開)
このエリアは、将軍が上洛する道中に迎え入れるためにだけに造られた空間。当初の本丸御殿から遅れること18年、1633年に増築した部分になります。
鷺の廊下
廊下レベルでこの豪華さ。しかし、これで驚いている場合ではありません。
鷺の廊下の突き当たりを左に曲がります。
釘隠し(葡萄と栗鼠)
葡萄(ぶどう)や栗鼠(リス)は、子宝や縁起物として彫刻や絵画に描かれていたそうです。釘隠しというよりは、これで立派な工芸作品になっています。
写真が切れていますが、鴨居の上にも障壁画があったり、漆塗りの襖の化粧縁に細かい絵が描かれています。
廊下の欄間
上の写真は、欄間というより屋外の光を採る障子のようなもの。彫刻はまるで和風ステンドグラスのようです。
これらを見ていると、まるで人間国宝の粋を集めた京都迎賓館を思い出します。
そして、さらに角を右に曲がると目に飛び込んでくるのがこちら
廊下の彫刻欄間
この度の「上洛殿完成」のチラシにも採用されている鮮やかな花鳥彫刻。
立体的な彫刻は、日光や久能山など東照宮の社殿や透塀にも見られますが、ここの彫刻も負けていません。
日光東照宮は3代・家光が自分を将軍に取り立ててくれた祖父・家康のために造営していますが、こちらは、その家光の上洛に合わせて、尾張徳川家の藩主・義直によって造られました。徳川家が最も栄華を極めた時代といえるかもしれません。(家光の時代に造営された神社仏閣は全国にも数多く残っています)
実際にここを訪れたのは、3代・家光と14代・家茂(篤姫の旦那さんです)の二人のみだそうです。また、藩主の義直も本丸御殿に4年住んだだけで、その後は城内の二の丸御殿に移り住んだそうです。
そのような経緯もあって、この本丸御殿全体は日常利用されることなく建物自体を”美術品”として保存・維持していたので、かなり状態も良かったそうです。
しかし残念ながら昭和20年に焼失してしまいます。
廊下を歩いているだけでため息の出るような芸術作品が続々と登場します。
上洛殿 (三之間)
廊下があれだけの豪華さなので、当然部屋のつくりも豪華です。襖絵は水墨画・雪中梅竹鳥図。四方向の襖に春夏秋冬が表現されています。欄間の彫刻、格天井の模様も独特です。
上洛殿(上段之間、一之間)
上洛殿(上段之間)
本丸御殿の中で最高の格式を持つ部屋です。描かれているのは、狩野探幽の筆による「帝鑑図」。
天井は二重折り上げ格天井。ここにも細かい絵が描かれています。
実際将軍がここで就寝したのかはわかりませんが、こんな派手な天井では熟睡できそうにありませんね(-_-;)
上御膳所
写真が切れてしまいましたが、ちょうど看板の下に囲炉裏があります。
ここはパネル展示や映像紹介ルームになっています。
気になっていたこれだけの木材(主にヒノキ)は、木曽から運んだものだそうです。植林に関する活動などが紹介されています。
この他に(帰宅してしっかりレイアウト図を見直すと)、梅之間、黒木書院、湯殿書院があったはずなのですが、あまりの暑さにボーっとして素通りしてしまったのか、あるいは写真撮り忘れたのか、何かが足りません (-_-;)
御殿内のガイドは?
御殿内には各部屋などを紹介した案内板が設置されています。また、係員が随所にいて質問にはある程度こたえてくれますが、しっかり解説が聞きたい場合は、音声ガイドの貸出(1回100円)もあります。
また、正門と東門付近集合で予約不要のガイドツアーがあります。
昼前に到着したので、一度自分の足でまわってからこちらに参加する予定でしたが、あまりの暑さに体力の限界を感じて退散してまいりました。この日、40℃近い気温の中、屋外も歩きながらのガイドツアーが催行されたかは定かではありません。
次回季節を改めて、ガイドツアーに参加したいと思っています。
名古屋の伝統工芸品が集結したミュージアムショップ
本丸御殿の建物の一部は、ミュージアムショップになっています。図録などの他、お菓子、文具などのおみやげ品、名古屋周辺の伝統工芸品などが揃っています。
間もなく見られなくなる本丸御殿と天守閣のツーショット
(工事中の)素屋根がまったくない名古屋城は何年ぶりでしょう。
そして、尾張名古屋を象徴する建物として現存した2つの建物がこうやって並ぶのは、73年ぶりのことです。
しかし、間もなくこのツーショットも数年見られなくなります。
現在のコンクリート造りの天守閣が取り壊され、木造に再建されることになりました。
現在の天守閣の状況と、最近オープンした金シャチ横丁については、次の記事にて。
つづく

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