2018年11月 台湾旅行記途中ですが、これを語らずして今回の九份&金瓜石行きは語れませんので、ちょっと脱線します。
興味のある方はぜひご一読を。でも決してマネをしないでください。
- 台北駅で「日本製」の最新型特急電車に飛び乗る
- 停車時間のはずが駅に止まらない!?
- 車掌さんが検札にやってきた!
- 宜蘭駅で1時間、反対列車を待つ
- 莒光号に乗って無事に瑞芳駅へ
- 再び検札がやってきた
- 瑞芳駅でもうひとつの親切と次なる約束
2008年の年末年始の休暇を利用して友人と2度目になる台湾へ行きました。
ホテル送迎のみついた、航空券とホテルのパックツアーを利用。
旅の2日目に、映画「悲城情市」の舞台にもなった(というより今は「千と千尋の神隠し」ですかね)人気スポット九份(きゅうふん)に行くことに。
オプショナルツアーは利用せず、バスよりも鉄道を選択しました。
海外の鉄道はノスタルジックな気分満載ですからね。
台北から瑞芳(ルイファン)まで電車で行き、そこからバスに乗り換えます。
台北駅で「日本製」の最新型特急電車に飛び乗る
漢字だけは読み書きできますが(何の自慢にもならない)、中国語はサッパリの私たち。
駅に来たのはいいものの、この板を見ても切符をどうやって買っていいのかすらわかりません。
当時はスマホは普及しておらずガラケーだけなので人に尋ねる以外に手段はありません。
幸い日本語の通じる案内所の方がいたので、お手伝いしてもらって切符をゲット。
これだけでかなりのムチャぶりですよ(爆)
目的地までの切符を購入し地下のホームに行くと、そこには日本の新幹線のような特急列車が停車しているではありませんか!!
この前年2007年に日本の新幹線車両を利用した台湾新幹線が開通したばかり。
台北を起点にして新幹線のルートは西海岸側、九份へのルートは反対の方向になるので、あれ?と思いましたが台鉄(在来線)の特急列車にも一部使われているようです。
「すご~い」「これに乗れるなんてラッキーだよね~」
そこに一編成しかいない列車を見て、何も考えずにこれが自分たちの乗る列車と確信。選択肢が他にあればもうちょっと注意深く行動したんですけどね・・・(言い訳)
そして、列車は発車しました。目的の駅には、約45分で到着予定です。
停車時間のはずが駅に止まらない!?
ほどなく台北の次の停車駅 松山に停車しました。次が瑞芳です。
日本の新幹線ほど広くありませんが座席もゆったりしていて乗り心地の良い列車です。
前の席では何かの番組の撮影かクルーたちが撮影中です。
まだ運行して間もない新車両なのかもしれません。
「私たち映っちゃうかな~」とアホなテンションで盛り上がる私たち。
写真を確認したら電光掲示板に次の停車駅が表示されているのですが、その時はそんなもの目に入っていません(苦笑)
ふと次の停車駅までが長すぎることに気づきました。
「あれっ、次の停車駅まではあと10分くらだったのに、長くない?」
地図(アナログの紙媒体)を開きますが、よくわからない(爆)
心配になり、よーく切符を見ると・・なんと切符に書いてあるのは「莒光号」
※スタンプは宜蘭駅で押してもらったものです
確か乗る前に見た電光板に「自強号」って書いてあった気がする・・・
そうです。私たちは9:50発の花蓮行きの自強号に乗っちゃってました!
きっぷに書かれているのは10:05発の莒光号。3本もフライングです。
これは、日本でいうところの「こだま」と「のぞみ」を乗り間違えたようなものです。
東京駅から小田原に行きたいのに、名古屋まで止まらないのぞみ号に乗ってしまった、的な!?
車掌さんが検札にやってきた!
しかし、ここでジタバタしても列車は止まりません。
しばらくすると車掌さんがやってきました。日本の新幹線では消滅した検札ですが、台湾にもあるんですね~
こんなに乗ったら乗り越し料金も高いだろうなぁ、でもわざとじゃないし・・・
一応財布も手元に用意しておきました。
車掌さんは、私達の切符を見るなり「ありゃりゃ~、やっちゃったよ」という顔。
しかし言葉で意思疎通がはかれません。
そこで、車掌さんは切符の裏になにやら書き始めました。
”誤乗2035 至 宜蘭駅 返送 11:00"
「誤乗車したので、宜蘭駅まで行って反対の列車に乗りなさい」ってことらしいです。
いや~、漢字の通じる国でよかったわ~
達筆すぎてわからないところもありますが「宜蘭」と「返送」で理解できました!
それから間もなく宜蘭駅に到着しました。
宜蘭駅で1時間、反対列車を待つ
自強号さん さようなら~
ホント、前から見ると新幹線だけど、「TRA」が「JRA(競馬)」に見えます(笑)
特急が止まるんだから大きな駅かと思いきや、「宜蘭」は意外にもローカルな駅でした。
奥に見える貨車も石炭運びそうな昭和30~40年代って感じです。
次の反対列車が来るまで1時間もありました。
この切符じゃ改札を出るわけにもいかないし、ホームでおとなしくするしかありません。しかし、ホームには店もなければ、人もいません。
昼も近くなりおなかがすきます。予定通りなら九份でご飯だったのに・・・緊張していてもおなかは空くんです。
改札を出た先の待合室に、見慣れたセブンイレブンがあるのが目に留まりました。
そこで勇気を出して、改札に行き切符を見せながらセブンイレブンを指差して「あそこで何か買いたい」と身振り手振りで伝えました。
すると駅員さんは切符の裏に書いてある言葉を見てかわいそうに思ったのか、スタンプを押して改札をスルーさせてくれました。
セブンでパンを買って食べ、どさくさに紛れて!?ちょっとだけ外の空気を吸いに・・・
駅舎だけ記念撮影してきました。
後で知りましたが、この駅舎も日本統治時代に造られた年代物。
この後は待合室で列車を待っていました。
すると先ほど改札を出してくれた駅員さんが、こちらへ来なさいと手招きするのです。
黙って外に出ちゃうし、乗り越し料金も払ってないし、目をつけられたかも。
最初に買った切符は62元。当時のレートで換算すると250円くらいです。
いくら台湾の鉄道が安いといっても、あの特急とこの距離で250円はまずいでしょう。
ところが、駅員さんはホームまで私たちを案内してくれ、ホームにある時刻案内板を指差しながら、もうすぐ来る列車のことを案内し、立ち去っていったのです。
えー、親切すぎて涙が出ちゃいそうです。
莒光号に乗って無事に瑞芳駅へ
瑞芳に向かう列車が到着しました。
えっ?これ? マジですか~
新幹線のような自強号とは、とうてい同じ国にいるとは思えないギャップ。
ベトナムとかで走っていそうな雰囲気です。いや、貨物列車にも見える。
車内は、外観ほど差は感じませんが、若干昭和の特急の香りが・・・
再び検札がやってきた
乗車してしばらくすると、車掌さんが検札にやってきました。
再び乗り越し料金の心配をしてお財布を準備しておきますが、車掌さんは切符を見るなり、「ありゃ~」という表情で切符を確認だけして去ってきました。
最強すぎるわ、この切符(爆)
しかし、冗談抜きで今度は乗り過ごさないように下車できる体制でスタンバイ。
すると到着10分ほど前に、さきほどの車掌さんが再びやってきました。
腕時計を見せながら身振り手振りで瑞芳駅に到着する時刻を教えてくれました。
さらに到着直前にもう一度やってきてました。親切すぎます。
いや「この日本人のねえちゃんたち、放置したらどこまで行っちゃうかわからない」と同情されたのでしょうね。
ていねいにお礼を言い(伝わったと思いますが)、瑞芳駅で無事下車しました。
ふぅ~
こんな時に友人が「こんなに親切にしてもらって、この切符は記念に欲しいね」と言い出しました。
遠まわしに私になんとかして、というプレッシャーです。私はそんなこと伝えられませんってば。でも私もできるなら欲しい、この「最強きっぷ」
そんな心配をよそに、改札の駅員さんは切符を見て「持って行きなさい」とゼスチャーをしてくれたのでありがたく記念にいただいてまいりました(^^)v
その後、瑞芳駅から無事バスに乗り九份の観光を楽しんで、再びこの駅に戻ってきたわけですが、またここで親切な人に出会います。
瑞芳駅でもうひとつの親切と次なる約束
帰りの切符を買うのに迷っていると、流暢な日本語で「どこまで帰るの?」と初老の男性が声をかけてきました。ボランティアガイドの方でした。
お話をすると、戦前日本語教育を受けたという方です。
初めての台湾旅行でもこういう方と出会いましたが、親日的で気さくに話しかけてくれます。
近くにある金山(金瓜石)を観光スポットとして紹介している方で、日本人にも歴史的なつながりがある場所だと熱心に説明してくれました。
その時は、正直興味はなかったのですが、パンフレットもいただいたので社交辞令的に「またいつか来るからね」と伝え、瑞芳駅をあとにしました。
帰国してからこの時の台湾の人々の親切な対応と「金瓜石」がずっと頭の中に残りつつ10年。やっと台湾再訪の機会を得たというわけです。
旅行記のつづきはこちらでご覧ください。
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