2022年7月の山形の旅。
鶴岡公園内の鶴ヶ岡城跡と荘内神社を巡った後は、旧三の丸にある致道博物館を訪ねました。
致道博物館について
鶴ヶ岡城の藩主であった酒井家から土地や建物を譲り受けて造られた、歴史民俗資料を展示する屋内外の博物館となっています。
場所は鶴岡公園の西、外堀に面した旧三の丸に位置しています。
酒井家藩主が使用していた建物や庭園の他、江戸時代から明治時代にかけて造られ、近郊から移築された建物を集めた展示施設となっています。
「致道」とは
「ちどう」と読みます。
この博物館の名前は、幕末に造られた荘内藩校「致道館」に由来しています。
論語の一説、「君子学んで以て其の道を致す」を出典としています。
なお、藩校「致道館」も現存建造物(国指定史跡)として見学可能ですが、この「致道博物館」から少し離れた場所にあります。間違えやすいのでご注意ください。
致道博物館内の建物
受付とショップ
上の写真右の平屋の建物が受付です。ここで入場券を購入します。
入場料はおとな800円(高校大学生400円 小中学生300円)となっています。
初めて行く方は(私もです)混乱しやすい致道館のパンフレットも並べてみました。
致道館は国指定史跡でそのままの位置に保存展示されています。入館無料です。
建物に入ると記念グッズや書籍などのミュージアムショップになっていて、ここを抜けて展示エリアに入場します。この建物内には、休憩スペースなども設けられています。
(出口も同じルートになります)
すぐ前には20台ほどの駐車場があります。私はこの駐車場を利用して、鶴岡公園などもあわせて散策しました。
旧庄内藩主御隠殿
1864年に江戸中屋敷の一部を移築したと伝わる建物で、隠居した藩主のための住居。
その一部が保存されています。
館内には書画などの他に釣り道具も展示されていました。
奥座敷からは江戸時代に造られたという庭園も眺められます。
酒井氏庭園
書院づくりの落ち着いた庭園。鳥海山を借景にしているそうです。
建物を巡りながら庭園の中を歩くこともできます。
旧鶴岡警察署庁舎
駐車場から正面に見える水色の瀟洒な建物。
この時代に流行した疑洋風建築といわれる和洋折衷(壁や内装は洋風ですが、屋根瓦や破風などは和風)の建物です。
1884(明治17)年に建てられここに移築されたものですが、近年修復工事が完了し当時の姿(外観の色なども)に復元されたそうです。
取調室も復元されています。
取調室は、江戸時代の「お白洲」が屋内に移動したという感じですね。
階段は、現存天守で味わえるのと同じような急角度となっていて運動不足には祟ります(苦笑)
2階からは御隠殿や渋谷家住宅の屋根のようすもよく見えます。
赤門
車道に面しているので正面から撮影できませんでしたが、写真右下の屋根が赤門です。
由緒ある建造物で、田安徳川家の姫が酒井家に輿入れした時に建てられた門を江戸中屋敷から移築したそうです。
御隠殿のお屋敷の資材なども江戸中屋敷のものを再利用しているそうで、「ケチ」ともいわれる質素倹約に励む三河武士たちの教えが受け継がれているのだなと妙に感心してしまいました。
旧渋谷家住宅
1822年に造られ、1965年に移築された民家。
出羽三山の麓の集落にあったもので、豪雪地帯の気候にあわせた造りになっています。
白川郷や五箇山の合掌集落と似ているようでもありながら、「兜づくり」といわれる独特の屋根の形が目を引きます。
旧西田川郡役所
1881(明治14)年に建てられた役所の建物。旧鶴岡警察署の建物と同様、疑洋風建築の建物です。
この日は入場見学が不可でした。戊辰戦争や西郷隆盛関連の資料展示は興味があったので、見られなくてちょっと残念。
美術展覧会場
屋内展示施設です。(室内撮影禁止の上に、建物外観も撮影し忘れました~)
2022年は酒井家が藩主になって400 年の節目ということで5回に分けての記念企画が開催されていました。
【第1部】 徳川四天王筆頭・酒井 忠次
【第2部】 中興の祖・酒井忠徳と 庄内藩校致道館
【第3部】 民衆のチカラ ~三方 領知替え阻止運動~
【第4部】 藩祖・酒井忠勝
【第5部】 酒井家の明治維新~戊 辰戦争と松ヶ岡開墾~
私が行ったタイミングは第3部でした。ほとんど知らなかった歴史なので大変勉強になりましたが、個人的には第1部が見たかったんです。
鶴岡だけでわずか数か月だけの展示ではもったいないので、2023年の大河ドラマ「どうする家康」にあわせて、酒井忠次のふるさと三河(愛知県岡崎市か豊橋市)で再現してくれないかな~? なんて徳川家康贔屓のひとりごとですけどね。
まとめ
この他にも文化財収納庫などもありましたが、最後は駆け足になってしまいました。
所要は約1時間でした。
愛知県近郊にお住いの方はご存じの移築建造物を集めた「明治村」を超コンパクトにした感じのミュージアムといった感じですが、隣の城跡とあわせて真夏に歩いて回るには十分すぎる規模でした。
和風洋風、お殿様から庶民まで、幅広いラインナップの建物ミュージアム。建物好きはもちろん、そうでなくても地域の歴史がぎゅっと詰まっていて為になると思います。
また、年間スケジュールを見るとかなり多彩な企画展が開催されていて、近くにあったら通いたいと正直思うレベルでしたよ。
この後は、致道館に向かいます。