2023年4月の熊本の旅。
イルカウォッチングの発着場からほど近い場所にある鈴木神社を参拝しました。
旅行計画を立てる中で「鈴木神社」なるものがあることを発見しました。
鈴木を名乗るものとしては、これは行かねばなりませぬ。というわけで参拝記録です。
島原・天草の乱と鈴木重成公
ここに祀られているのは鈴木重成という実在した人物です。
1637年に起こった島原・天草の乱(以下、天草の乱)の後に荒廃したこの地の復興に尽力した恩人です。
天草の乱は、キリシタン弾圧が理由で起こったと学習してきた方が多いと思いますが、実はこの地域を治めていた藩主たちによる過酷な年貢の取り立てや飢饉が主要因でした。
この時期、キリシタンが多かったこの地域では、禁教に対し改宗を拒んだ民衆に対し拷問や処刑も行われました。これに反発した民衆たちの反乱から「キリシタン弾圧」という側面が大きくなっています。
鈴木重成公は、天領となった天草に幕府から派遣された三河出身(足助城主の三男)の代官。
人がいなくなってしまった天草に植民を推進すると同時に、再検地を行い税負担を見直します。
また、兄で僧侶の正三を呼び寄せて仏教への改宗を勧めるために神社や寺を建立しました。
それでも民衆の生活が苦しいため、最後は命を投げうって年貢の半減を幕府に直訴したと伝わります。
命をかけて地域のために尽くした鈴木重成公とその兄弟らの遺徳をたたえるために創建されたのが鈴木神社です。
鈴木神社について
【名 称】鈴木神社
【主祭神】鈴木重成、鈴木正三、鈴木重辰
【創建年】1654(承応3)年
【文化財】鈴木明神伝碑
【所在地】熊本県天草市
天草の道の駅からナビの案内で走ること約20分。途中、天草空港の脇を通過しました。
海沿いの景色からのどかな里山集落の景色に変わり、田んぼ道を進んでいくと神社がありました。
この階段の横にある細い道から車で上れるようなので進みます。
登っていくと社殿の鳥居前に5~6台分の駐車スペースがあります。
鈴木神社の境内
この扁額は撮影しているのに、鳥居全体の写真撮り忘れました(>_<)
「鈴木神社」にやってきた達成感でと舞い上がってしまっていたかもしれません。
手水舎
社殿
遅い時間の参拝になってしまいましたが、拝殿の扉も開いていてよかったです。
祀られているのは鈴木重成(しげなり)、兄で僧侶の正三(しょうさん)、正三の息子で2代目代官となった重辰(しげとき)の3柱です。
地元では「鈴木さま」と親しみを込めて崇敬されており、島内35か所に祀られた鈴木さまの宗社となっています。
朱塗りの欄干に囲まれた美しい社殿です。
社殿右手奥には鈴木明神伝碑(写真中央の瓦屋根の建物の中)があります。
※2006年 本渡市は周辺10市町の合併により天草市となっています。
社殿周辺はコンパクトで10分もあれば参拝ができます。
一方神域は広いようで、境内には本村神社などの社殿もありました。もう少し早い時間なら境内をゆっくり歩いてみたかったです。
鈴木神社の御朱印
社殿前の鳥居向かって右にある社務所の建物でいただきました。
立派な建物で、中には椅子とテーブルも用意されていました。
呼び鈴を押すと神職さんが対応してくださいます。(不在の時もあります)
御朱印の代金はいただいていないとのことでしたので、お守りを買ってきました。
御朱印帳の前ページが藤白神社のものだったことに神職さんも驚かれていて、そこから「静岡県から来た鈴木です!」と名乗ると、それまでもの静かだった神職さんが神社の歴史などいろいろとお話をしてくださいました。
ちなみに鈴木神社の神職さんは鈴木さんではありませんでした。
というのも「鈴木さま」は神様なので、庶民は恐れ多くて鈴木を名乗ることはないため、この地域では鈴木という姓はほとんどいない(市内に30人)そうです。
まるで「徳川」のような扱いにびっくり(@_@)
さらにサプライズの御品までいただきましたm(__)m
境内の松ぼっくりは超ビッグサイズ。近所の方々にも大人気だそうです。
なんと20センチ近くありました。縁起ものなので今も大切に飾ってあります。
この2ヶ月、まるで「鈴木」という苗字が水戸黄門の印籠のように!?役立つ日が来るとは、人生初体験でした~
鈴木神社参拝その後
天草信用金庫前に立つ三公像
地元情報で「銅像もありますよ」と聞いたので立ち寄ってみました。
天草市にふるさと納税
大変手厚くおもてなしをいただき感謝感謝の鈴木神社参拝でした。
遠方で何度も行かれないので奉賛金などを納めようかとも考えましたが、ホームページがなく情報が得られなかったので、視点を変えて「ふるさと納税」にしました。
鈴木さまを長年崇敬し、歴史を伝え継いでくださっている地域のみなさまに役立ててもらえたらうれしいです。(天草市では納税地区が指定ができます)
返礼品もいただきましたが、地域からお礼状も届いて恐縮でございます。
静岡県内の神職さんも注目!
さらに、この3か月後に静岡県内のある神社に参拝したところ、対応してくださった神職さんが鈴木姓の方で、前ページにあった御朱印を見て「どこにあるんですか?」という話から藤白神社も含めた話題でまたまた盛り上がってしまいました。
いや~、鈴木でつながるご縁をたっぷり感じた2023年。
静岡県内はホントびっくりするくらい鈴木が多い地域で、その中でも浜松市は(全人口の約7%)全国でもダントツです。
なので、友人や知人の間で「鈴木」で呼ばれることはありません。
病院や銀行などに行けば「鈴木さま~」って呼ばれますけど、たいていはフルネームじゃないとみんな振り向いちゃうのが浜松あるある(笑)
どこにでも転がっている苗字ですが、誇りにしていきたいと思っています。
まとめ
これを読んでいる全国の鈴木さん!
旅の寄り道でもいいので和歌山の藤白神社、熊本天草の鈴木神社に参拝してください!
ありきたりの「鈴木」も愛おしくなること間違いなしです。
長いついでに最後に歴史教育についてひとこと。
島原・天草の乱=徳川の政策のキリシタン弾圧が原因で起こった一揆。
だから徳川(家康や家光)が悪い、みたいな図式でみなさん認識していませんか?
私は天草に行くまで、この地域の方は徳川については良く思ってないんだろうなと思っていました。ところが、この「鈴木さま」のおかげで歴史認識はがらりと変わりました。
日本全国とはいいませんけど、鈴木姓の多い静岡県や愛知県、さらに江戸幕府のおかれていた東京などの小中学校では、こういう歴史をちゃんと教えてほしいと思うのでした。