2023年3月の和歌山の旅。
今回の旅のいちばんの目的は和歌山県海南市にある藤白神社と鈴木屋敷の訪問。
鈴木姓発祥の地として知られる神社を正真正銘の”鈴木”が訪ねてみました。
鈴木姓とそのルーツ藤白神社
藤白(ふじしろ)神社は、鈴木姓のルーツとなる神社として「鈴木さん界隈」にはちょっと知られた神社です。
鈴木姓の多くはそのルーツが紀州熊野で、熊野信仰を広めるために全国へ広がったとされています。
かくいう私も鈴木姓です。これを言わないと話にならないのでカミングアウト(^o^)
鈴木は現在全国2位の苗字で全国に200万人ほどいるそうですが、東海、関東、東北に多く、その中でも静岡県浜松市ではその比率がかなり高めです。
そんなわけで子供の頃から「鈴木さん」と呼ばれることは皆無で、氏名を書く時に必要な記号のようなもので、ホント空気のような存在でした。
浜松市が発行しているフリーペーパーでもかつて「鈴木特集」がありました。
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/documents/31552/04-02.pdf
話を戻し、この藤白神社については私もこのフリーペーパーで目にするちょっと前から知っていた程度で、いつか足を運んでみたいとは思っていました。
藤白神社について
和歌山市の南、海南市にあります。
その立地は熊野詣の入口となる「一の鳥居」のある場所であり、熊野詣の隆盛期の要衝として栄えました。
境内への入口にある石碑には「三熊野一の鳥居」と表記されています。
熊野信仰に関連して組織された九十九王子(くじゅうくおうじ・・・12世紀から13世紀にかけて、皇族や高貴な人たちの熊野詣に際して先達をつとめるために組織された神社のこと)の中でも格式の高い五躰王子のひとつ藤白王子を祀る神社です。
「藤白権現」「藤白若一王子権現」などとも称されます。
この地に屋敷を建て地域の中心となっていたのが豪族の藤白鈴木氏。
やがて熊野詣の隆盛期には皇族など高貴な人々をこの地で出迎えていたとされています。
【名 称】藤白神社
【主祭神】饒速日命(にぎはやのひのみこと=藤白鈴木氏の氏神さま)
【配祀神】熊野坐大神(くまのにいますおおかみ)、熊野速玉大神(くまのはやたまおおかみ) 熊野夫須美大神(くまのふすのおおかみ)天照大神 祓戸大神
【創建年】景行天皇5年 (4世紀前半頃)
【創建者】
【文化財】藤白王子跡(国指定史跡) 本殿、本地仏等(和歌山県文化財)
【所在地】和歌山県海南市
藤白神社の境内
鳥居
こちらは境内東側、駐車場から向かった場合はここから入ります。
前出の大きな石碑が隣にあります。鳥居を進んで左手に社殿となります。
こちらの鳥居は境内北側にあり、社殿に向かって正面にある鳥居です。
駐車場側の鳥居よりも大きく、こちらがかつての参道だったと思われます。
というのもさらに下がってみると・・・
やっぱりこちらがメインの位置づけなのでしょうか?
社務所
正面の建物右半分は御朱印などを受け付ける社務所。中央が通路になっています。
通路を通り抜けた先に社殿があるという珍しい造りです。
境内にこのような幟旗が立っています。歓迎されてるわ~♡
拝殿
唐破風の屋根を持つ拝殿。扉は閉まっており、その奥の様子はうかがえませんでした。
本殿は紀州徳川家の藩主 徳川頼宜の命により1663年に造営されたもので、県指定の文化財に指定されているものだそうです。
子守楠神社(クスノキの巨木)
駐車場側の鳥居を入った瞬間に巨木の大きな枝に包み込まれるような感覚。
樹齢1000年以上といわれるクスノキの横にある子守楠神社は、子供の神様として崇敬され、古くからこの地域では子どもに楠、藤、熊の名をつけると長命で出世するそうです。
和歌山市出身の博物学者・民族学者である南方熊楠(みなかたくまぐす)もその一人です。
(未確認情報ですが)世界的楽器メーカーのヤマハ(旧.日本楽器製造)創業者 山葉寅楠(やまはとらくす)も和歌山市出身ですが、もしかしてここのご利益かしら?
楠の周辺にはデッキも整備されていて、お天気が良ければしばらくボーっとしていたいくらい気持ちがいい場所です。
摂社・末社
なんだか馬小屋みたいな建物だなあと近づいてみると・・・
馬がいたっっ 木像の神馬でした。(写真途切れてごめんなさい)
建物の中には、恵比寿神社、秋葉神社、住吉神社、塩釜神社といった私たちの生活に密着した神様たちのお社が並んでいました。
宮水(紫の水)
かつて川の上流に日に映えて紫に輝く石があり、地元の人々は自然の真水の恩恵に浴しこれを「紫の水」と呼ぶようになったそうです。
時期が時期なだけに利用禁止でした(泣)
この境内には神社では珍しく仏堂があります。
藤白王子権現堂
明治維新まで続いた神仏習合の思想 本地垂迹(ほんちすいじゃく・・・神道の神々は、様々な仏の化身として日本の地に現れた権現である)に基づいて作られた仏像 本地仏(ほんちぶつ)が安置されています。
権現堂の中には、平安時代末期に作られたといわれる熊野三山の本地仏等が祀られています。
- 阿弥陀如来=熊野本宮大社
- 薬師如来=熊野速玉大社
- 千手観音=熊野那智大社
- 藤白若一王子=天照大神
明治維新の廃仏毀釈で多くの仏像が失われた中、こちらの仏像は難を逃れ現在も大切に祀られています。(廃仏毀釈や廃城令を行った明治政府ムカつくわ~)
藤白神社の御朱印
「鈴木」関連のお守りやグッズが揃っていました。
御朱印の対応をしてくださった神職さんとお話をする中で、「鈴木」であることを名乗り、鈴木屋敷のクラウドファンディングに参加したことを話すと、なんと!境内を案内してくださるということに。
平日のお昼近く、予約もせずに立ち寄ったにも関わらず、すっかりご厚意に甘えてしまいました。
おかげで神社とオープン直前の鈴木屋敷周辺を解説付きでじっくり巡りました。
通常はガラス越しにしか見られない藤白王子権現堂の中に案内していただき、間近で本地仏を拝観することもでき、改めて御礼申し上げます。
藤白神社へのアクセス
交通アクセスは車が便利です。阪和自動車道海南インターが最寄りですが、私は紀州東照宮(和歌の浦付近)経由で行きました。
時間に余裕があれば海沿いの景色を眺めながらの一般道がおすすめです。
海南インター前「藤白神社入口」の交差点には大きな看板もありますが、ここ注意です。
側道(ポールの左)を入ります。まっすぐ行くと有料道路に入ってしまいます。
さらにその先、紀勢本線の高架橋下など道幅も狭い上に交通量多め。そして上り坂になりますので注意が必要です。
この交差点から(カーナビでは1分ですが)坂道をゆっくり進むと5分くらいです。
駐車場
こちらの第1駐車場には10数台ほどのスペースとトイレがあります(境内にはトイレはありません)。
第2駐車場もありますが、いずれも道が鋭角かつ坂なので入出庫に注意が必要です。
まとめ
念願かなって自分の苗字に由来のある神社を参拝することができました。
おまけにサプライズで境内をじっくり案内していただくことができました。
さらに藤白神社を参拝した後、「鈴木」に関連した縁があり、行く先々の神社で歓迎していただきました。
昔は難読苗字にあこがれた時期もありましたが、長年、鈴木から姓を変えなくてよかった~(←まあ別の意味ではいろいろ言われますけどね・・・)と思うのでした。
続いて、復元がほぼ完了した鈴木屋敷へ。