2023年3月の和歌山の旅。
鈴木姓発祥の地といわれる和歌山県海南市の藤白神社を訪ねました。
神社の敷地内には、2023年4月に鈴木姓の祖先である鈴木屋敷が復元されてオープンしました。
先にお断りしておきます。行ったのはオープン半月前です(;'∀')
2023年春にオープンするという情報を得て(詳細はわからず)憶測で行ってみたら・・・フライング。
しかし藤白神社の神職さんの案内付きで、断絶してしまった藤白鈴木氏のお話などを伺いながら、建物の外観などを見学してきました。
クラウドファンディングの経緯などもあわせてご紹介します。
藤白鈴木氏と鈴木屋敷
藤白鈴木氏の歴史は、勝浦湾を根拠地とした熊野地方の豪族からはじまります。
平安末期にこの地に移り住み、藤白王子(現在の藤白神社)を拠点に熊野信仰の普及や周辺の熊野参道などを管理しました。
この時代は熊野参詣が盛んで、熊野一の鳥居(入口)となるこの地で、上皇、法皇や宮廷人などを出迎え、熊野三山への案内役を務めてきました。
藤白鈴木氏の屋敷では、歌会や相撲なども催されていた記録が残っています。
また、源義経の家来であった鈴木三郎重家と亀井六郎重清の兄弟も藤白鈴木氏出身。義経の熊野往還の際には、この屋敷に滞在していたと伝わります。
江戸時代になると藤白鈴木氏は紀州藩に仕えることとなり、神官の職から離れますが、この土地の領主として存続します。
122代目となる鈴木三郎重吉氏が1942(昭和17)年に亡くなったのを最後に、藤白鈴木氏は断絶しました。
2020年 鈴木屋敷復元のクラファンに参加!
事の始まりは2020年。
代々神社と関連の深い藤白鈴木氏が住んでいた「鈴木屋敷」が、主が亡くなり70年近く経過。倒壊しそうだという話が地元の中日新聞に掲載されました。
藤白神社を含めたこの地が国史跡に指定されたこともあり、復元しようという動きが起こりました。
なぜ和歌山の話が静岡県の新聞に?という理由ですが、「鈴木王国」といわれる浜松市をターゲットにGFC(ガバメントクラウドファンディング)に「協力して~」というものでした(笑)
もともとふるさと納税大好きな私。こりゃ大変!というわけで返礼品にも釣られつつ「1本」寄付しました。
数日後に届いた「宝箱」と鈴木関連の資料
この家系図が細かすぎてよくわかりませんが、わが家は神社とは全然関連のない家柄なので、ここには繋がってないかな~(苦笑)
鈴木証明書
ピカピカの証明書もいただきました。まるで鈴木の印籠 (笑)
さらにこちらが一番楽しみだった返礼品
鈴木ぼうろ
地元のお菓子屋さんで作られた素朴で懐かしい駄菓子です。美味しくいただきました。
このブロジェクト終了時は(私の参加したサイトで見た限りは)目標金額には達していないようでしたが、直接自治体に寄付する方や、企業の大口の寄付もあり、最終的には総工費の半分ほどの8500万円が集まったそうです。
鈴木も集結すればすごいパワーですね。
その後の様子は気にしていたもののコロナ禍ということもあり、世間一般いろいろなことが停滞しておりまして・・・
ふと思い出して調べていたら2023年の春にオープンという情報をキャッチし出向いたというわけです。
オープン直前の鈴木屋敷
藤白神社境内に隣接している鈴木屋敷の敷地。歩いて1~2分です。
文化財なので新築できず、もともとあった建物の修理と柱などの建材を再利用して復元されています。
ご覧のとおりでした。(混雑嫌いのため、何かと外しまくっています)
ほぼ建物は完成していて、庭園周りの作業をしているところでした。
門の外にはロープが張られており、本来は入れないのですが、神職さん同行で敷地内に入ることができました。
外周を散策しながら神職さんに聞いたお話では、最後の当主となった鈴木氏は生涯独身で、絵を描いていらっしゃったとか。
戦前という時代背景を思うとなんともマイペースで、ある意味うらやましい生涯です。
井戸跡
建物の裏手にもまわってみました。
こちらには池泉庭園が整備されています。
鈴木屋敷復元に関する冊子もいただきました。
工事中の見学が好きな私としては、取り壊しや復元工事中に訪ねてみたかったというのが本音だったりします。
完成(オープン)イメージはこんな感じだそうです。
駐車場の近くには新しい看板もありました。
なお、鈴木屋敷の見学については下記のとおりです(2023年8月現在)
【住所】和歌山県海南市藤白
【営業時間】10:00〜16:00
【入場料】300円
【休業日】月曜日・火曜日(祝日は営業)、年末年始
【駐車場】藤白神社の駐車場を利用
鈴木屋敷オープン後日談
私が鈴木屋敷に行った2週間後の3月下旬、中日新聞に鈴木屋敷の竣工式典のニュースが大きく掲載されました。
記念式典の写真には、浜松を代表する「スズキ」の白い眉毛がチャーミングな大御所さまが映っているではありませんか(@_@)
太っ腹な寄付金額に、私の微々たる寄付なんて霞んでしまいましたけど、この心意気は同じ鈴木を名乗るものとしてうれしいものでした。
現在は全国に180万人近くいるといわれる「鈴木」のふるさととして甦った鈴木屋敷。
ありふれた苗字ではありますが、こういう拠点があることをぜひ知っていただき、鈴木の歴史を知って、今まで以上に愛着を持っていただければと思います。
もちろん鈴木さん以外の方も(愛車にSのマークがついているという方もぜひ!)熊野詣の歴史を感じられる藤白神社とあわせて訪ねていただきたいと思うのでした。
余談ですが「鈴木屋敷」で検索すると浜松市にある「鈴木屋敷」がヒットします。
こちらも最近復元工事が行われて、レストランとして利用されています。
この鈴木屋敷についても最近行ってまいりましたので、近いうちにご紹介したいと思います。
★こちらの記事もぜひご覧ください。