2014年2月の冬のスペイン周遊ツアー旅行記です。
ツアーも半分を過ぎましたが、スペインを代表する有名建造物は後半にたっぷり残されています。疲れている場合ではありません!
5日目の観光はグラナダです。
ここまで巡ってきたコルドバ、セビリヤ、ミハスと同じアンダルシア州です。ツアー中半分ほどの観光がこのアンダルシア州ということになります。
グラナダでは、歴史的なイスラム建築が残るスペインの中でも最高傑作といわれるアルハンブラ宮殿を訪ねました。
グラナダとレコンキスタ
グラナダはイスラム教最後の王朝であるナスル朝の首都だった都市。
ナスル朝はイベリア半島に13世紀から15世紀末にかけて存在したイスラム王朝で、1492年にスペイン帝国に征服されました。
レコンキスタは8世紀から始まったキリスト教国家によるイベリア半島のイスラム教からの解放運動のこと(日本語訳では国土回復運動)
このナスル朝(グラナダ)の陥落によりレコンキスタは完了しました。
このような背景からグラナダには、いまもなおイスラム建築の史跡などが数多く残っています。
スペイン旅行に来なければ知らない世界史の用語がいっぱいです。(中高生時代は世界史をかなり拒否していました・・・)
アルハンブラ宮殿の概要
宮殿という名はついていますが、実際はナスル王朝の城塞都市。
官庁や学校、モスクから軍隊まで備えていて、数千人が住んでいたともいわれています。
9世紀に軍事要塞として建築がはじまり、ナスル朝の全盛期(13~15世紀)に宮殿は大きく拡張されました。
レコンキスタでグラナダが陥落した後も、キリスト教建築が取り入れたりしながらも維持され、様々な建築様式を見ることのできる史跡として世界遺産にも指定されています。
開門一番 アルハンブラ宮殿へ入場
ツアーではホテルを8時前に出発し、開館一番乗りというタイミングでアルハンブラ宮殿へ向かいました。
前日の汗ばむくらいのミハスとはがらりと変わり、グラナダの冬の朝はひんやり。
日本の季節感とほぼ同じです。例えると「2月に皇居(江戸城跡)へ散策に行く」という感じでしょうか!?
冬に訪れる場合、屋外中心の観光ですし、屋内も石造りなので、着込んでいく(プラス冷える人はカイロも持参)ことをオススメします。
車両の門
門を入っていきなりクランク??
いえ、これはきっと敵に一気に攻め込まれるのを防ぐ「桝形(ますかた)門」の造りと同じです。
強固な要塞は、日本の城郭建築を彷彿とさせるところが多々あります。
アルカサバ(軍事要塞)
なんとグラナダは「無血開城」しています。江戸城と同じだ\( 'ω')/
しかし、日本はその後明治政府の廃城令が大失策。江戸城をはじめ国内の多くの素晴らしい城郭建築をぶち壊しましたからね。
大砲もあるぅぅぅ
西洋史は苦手ですが、なんだか楽しくなってきたゾ。
【宮殿案内図】
とにかく広いです。大きく4つのエリアに分かれています。
正直、こんなところを個人で知識なしで巡ったら疲れるだけかも。
ガイドさんからはぐれないようにイヤホンガイドで説明を聞きながら歩きました。
はぐれると電波が飛ばなくなるのでそれが合図(苦笑)
サンタマリア教会
カルロス5世の時代に造られたモスクを改築して造られたキリスト教の教会。
カルロス5世は神聖ローマ帝国の皇帝であり、レコンキスタ完了後にスペイン国王(呼称はカルロス1世)として16世紀に在位した人物。
カルロス5世宮殿
ルネサンス様式の建物でここにはイスラム建築の面影はありません。
内部は円形になっていて、コンサートなども行われているそうです。
宮殿の中核 ナスル朝宮殿へ
現地ガイドさんがこのあたりでしきりに時間を気にし出し、ツアー参加者の人数確認などにピリピリしている様子。
というのも、時間には比較的ルーズ!?なラテンのお国でもここだけは別世界。
入場時間が規制されているので、分刻みの行動をしなければなりません。
ナスル朝宮殿入口
あれ?さっき見たカルロス5世宮殿なんかより地味なんですけど~
と思って内部に入ると、それはそれは緻密な装飾の数々
天井には寄木細工、そして石(大理石?)の彫刻が見られます。
寄木細工というと箱根など日本独特の工芸と思っていましたが、ここにルーツがあったのですね。
見学後に立ち寄ったおみやげ店の寄木細工の工房にて撮影
室内の装飾
今までに見た仏像や螺鈿細工を上回るほどの緻密さ。
スペインとこの数年後に行ったイタリアでラテン系の人々の器用さを見直しました(失礼ながら、働かない&不器用なイメージがあったんですけど、誤解してスミマセン)
アラヤネスのパティオ(中庭)の風景
アルハンブラ宮殿のシンボル的景観です。
晴れていたので、水面に建物がきれいに反射していました(*^^*)
日本では当たり前の池ですが、砂漠の国が多いイスラム系の国では水は貴重。
なので水をふんだんに使うことが、権威の象徴ともいえるのです。
廻廊に施された彫刻とその下のタイル柄が興味深い組み合わせです。
ライオン(獅子)のパティオ
12頭のライオン像が噴水を囲んでいます。
でも、ライオンというより・・・犬!? かわいい顔です。
このライオンたち、近年まで修復のため撤去されていたため、この場で見られるのは久しぶりだとガイドさんがおっしゃっていました。
さらに、以前より近づいて写真撮影も可能となっています。
でも、露出する口の管が残念。昔の人の方がはるかに器用でしたね(苦笑)
二姉妹の間
ここの八角形の天井は圧巻。鍾乳石の彫刻が施されています。
まるで鍾乳洞の中に紛れ込んだような立体感です。
リンダラハのバルコニー
緻密な彫刻も素晴らしいのですが、緊張するほどの緻密さ。
対照的に下のタイルがシンプルで身近に感じられるデザインなので意味もなくホッとしました。
まばゆいばかりのコテコテの装飾から、一気に地味な廊下になります(笑)
これも日本のお城にありそうな廊下櫓みたいな空間だわ。
そしてこの先、今までの緻密な装飾とは異なる不思議な空間が・・・
風呂(屋根)
岩の下には、お風呂があります。天窓がついたお風呂だそうです。セレブの感覚はよくわかりません(爆)
宮殿内から見るグラナダの町
ここで、宮殿建物内の見学が終了です。コテコテですが(笑) みごたえ十分でした。
私が訪れた2014年以降、よりはチケット確保が格段に難しくなっているそうで、ツアーパンフレットなどでもアルハンブラ宮殿の予約が確約できないという注意書きを見かけることがあります。
どうしても見たいという方は、人気の観光シーズンを避け、(たくさん着込んで)冬のツアーへ参加することをオススメします。
アルハンブラ宮殿見学記念に買ったストール
現地ガイドさんと対面した時から、タイルを模したような柄のストールが素敵だなあと思っていたところ、宮殿見学後に立ち寄ったツアー御用達のショップにありました!
普通はツアー御用達は高い割にはダサいものしかないイメージですが、ここはよかった。お値段も日本で買うブランドものに比べたらリーズナブルでした。
柄もひとつとして同じものがなく、ツアー参加者は吟味して購入していましたよ。
この後は庭園を歩き、ヘネラリーフェ宮殿(離宮)まで向かいます。
こちらからツアーのダイジェスト・リンク集がご覧いただけます。