先日、可睡斎へおひなさまを見にいった際に、足を延ばしてみました。
可睡斎からほど近い袋井市内にあることは知っていたのですが、初めての参拝です。冬ということで訪れる人は少ない時期でしたが、歴史の古い寺院らしい風格がいたるところにありました。
油山寺の概要と歴史
正式には医王山薬王院油山寺といい、701年に行基によって開山された真言宗のお寺です。ご本尊は薬師如来。
8世紀頃に孝謙天皇(女帝 聖武天皇の子 )の眼病治癒を祈願したところご利益があったことから、眼にご利益のあるお寺として知られています。これ以降も名だたる歴史上の治癒にご利益があり、その御礼に奉納されたと伝わる建造物もいくつかあります。
寺院の名前は、この山から油が湧き出ていたことから「あぶらやま」と呼ばれていたことに由来します。お寺の名前は「ゆさんじ」と読みます。
境内の建物
山門(重要文化財)
お寺にしては違和感を感じる門は、掛川城の門を移築したものてす。
明治時代の廃城令に際し、当時の城主により眼病治癒の御礼として移築されたそうです。
孝謙天皇にゆかりがあることから菊の御紋もいたることろに見られます。
霊木(御霊杉)
弘法大師にゆかりのある霊木。幹が松、枝葉は杉という珍しい木です。
境内は自然林の山となっており、とても良い空気に満ちています。境内には重要文化財も多いので、自然探索と史跡めぐりを兼ねてじっくり歩くことができます。
火気厳禁 ⇒ 火を断つ ⇒ おなじみ「日立」協賛の看板です。
参道を進むと礼拝門が見えます。その奥には方丈や書院などの建物が並びますがそちらへは行かず、橋の手前を左に進みます。
山内を歩き、山頂の薬師本堂に行くことができます。
お詣りはもちろん、日々の運動不足解消にはもってこいのルート。歩道は未舗装ですが、歩きやすく整備されています。
境内の自然林は古来からの自然を保っていて、鳥獣保護区にも指定されています。
冬なのでひっそりしていますがこの静寂さがなんともいえません。
新緑あるいは紅葉のシーズンはさぞかし美しい景色が見られると思います。
るりの滝
この祠の奥に油山寺が目の霊山といわれる由来となっている滝があります。
孝謙天皇が祈祷後にこの水で目を洗ったところ病が完治したと伝えられる滝です。
小さな滝で、水量も多くありませんが、1000年以上枯れずに脈々と流れるその歴史にパワーを感じます。
水は若干濁っていますが、滝つぼ(池のような場所)でこの水に触ることもできます。
地図で見るほど山ではない?と油断していたところ・・・
上り坂、きました~~
ここはまだ緩やかですが、この先、手水舎の先に急な階段があります。全部で200段近くはあったかと思います。
奈良の室生寺に行った時も、油断していたところにキツい上り坂が続きました。それに比べたら全然楽でしたけど。
ほどなくして山頂に到着です。山門からまっすぐ歩けば10~15分くらいです。
三重塔(重要文化財)
源頼朝の眼病平癒の御礼として薬師本堂とともに建立されました。安土桃山期の三名塔と称されています。
鐘楼
薬師本堂
ご本尊の薬師如来の他、軍善坊大権現が祀られています。
本堂の建物は三重塔と同様に源頼朝による寄進、さらに18世紀には徳川八代将軍の吉宗が病気平癒の御礼に本堂の再建を行ったとも伝えられています。
建物の彫刻も見事なのですが、本堂内の厨子が重要文化財となっています。
2017(平成29)年前にご開帳があったばかりで次は30年後なんだとか・・・
薬師本堂の中と外の階段脇にたくさんの絵馬が懸けられていました。眼病治癒を祈願される方々のものです。
そういう私も小さい頃から眼科のお世話になりっぱなし。自他ともに認める「強度近視」な上に、検診でも疑惑多し・・・ しかしながら幸いにも深刻な病は現在抱えておりませんので薬師如来さまには感謝あるのみです。
麓に下り、ご祈祷所などがあるこちらへ
宝生殿
階段を登って薬師本堂まで足を運ぶのは大変という方はこちらでお詣りができます。
近年完成したというこちらの建物をはじめ、方丈や書院の内部は有料で拝観ができるそうですが、この日はあまりにもひっそりしていたのでまたの機会に・・・
御朱印
礼拝門を入って右手の建物にて、御朱印、御守、御祈祷などの受付をしていただけます。不在の時はブザーを押して住職さんを呼びましょう。
御朱印とともに目の御守りもいただいてまいりました。
交通アクセス(駐車場など)
山門の前に10台ほどの駐車スペースがあります。
東名の袋井インター及び新東名の森掛川インターいずれからも車で20分ほどの場所にありますが、自家用車以外でのアクセスは正直厳しいと思われます。
袋井市街地から山門まではほぼ平坦で道路は走りやすいです。