巨大建造物&工事中が大好きすぎるというお話の続きです。
2024年は新年早々「ガウディとサグラダ・ファミリア展」を見るため名古屋まで行ってきました。
スペインに行けずにモヤモヤしていたところにこのタイミングでの企画の展覧会。
これは建築好き、世界遺産好き、そして旅好きにはたまらない展覧会です。
この記事では、10年前にスペインの現地で撮影した記録写真を振り返りながらご紹介したいと思います。
世界的に有名な建造物としてベスト10に入ると思われるこの建物。
サグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)です。
2014年2月撮影
正式名称はTemple Expiatori de la Sagrada Família 日本語訳で「聖家族贖罪教会」
建設から140年たった今も未完成の建造物として世界から注目を集めています。
ちょうど10年前に現地に行って以来、その完成がずっと気になっています。
当時は、作品の設計者であるアントニ・ガウディの没後100年のタイミングでの完成を目指しているとのことでしたが、コロナ禍での工期の遅れで完成はもう少し先になるとのこと。
このタイミングで日本にいながらにして工事の進捗や建物の詳細が手に取るように感じられる展覧会です。
展覧会での写真撮影について
展示室入口のパネルと、1階の一部エリアのみ撮影可能です。
全景の模型
これ素晴らしいのですが、ケースが反射して撮影しにくいです(泣)
こちらは200分の1サイズで骨組みなど構造が見られる模型
現地のミュージアムでは人がくぐれるサイズでしたよ。
展示内容
展示の概略
1.ガウディとその時代
2.ガウディとその源泉
3.サグラダ・ファミリアの軌跡
4.ガウディの遺伝子
展覧会では100点以上の図面や書籍、模型などが紹介されています。
ガウディの没後、スペインの内戦で多くの資料が焼失してしまったそうで、その中で残った数少ない手書きのノートは必見です。
またガウディの建築に関する視点がどのように生まれていったのかを生み出した作品の変化とともに時系列に紹介されています。
サグラダ・ファミリアという建物だけでなく、ガウディの生涯にも焦点を当てた興味深い展示内容になっています。
ガウディの設計思想
「歴史」「自然」「幾何学」です。
ガウディのことばで
「人は創造しない。人は発見し、その発見から出発する」が印象的でした。
一から創造することを否定し、現存する環境や伝統の中から生み出すスタイルです。
自然や先人に対しての畏敬の念も忘れてはいません。
スペインの伝統建築をリスペクト
イスラム教とキリスト教が融合したムデハル様式が特徴のスペインの歴史建造物。
その代表が世界遺産としてサグラダ・ファミリアと人気を二分するのがアルハンブラ宮殿ですが、ガウディはこの建物の意匠からも大きく影響を受けています。
2014年アルハンブラ宮殿にて
ガウディの作品は、斬新というイメージとは反対に古いものをリスペクトしつつ、それを昇華させたということでしょうか。
自然にも深い造詣
ガウディの作品は人工的なものの中に、海や山など自然を感じさせる部分が多々あります。浸食から生み出される洞窟を作品にしたこちら
カサ・バトリョは海の洞窟をイメージ。
一方このすぐ近くにあるカサ・バトリョは、山の洞窟をイメージし、屋上部分はピレネー山脈の山並みを再現しているそうです。
究極の曲線を追求
ガウディ建築といえば曲線と曲面の多用です。
それは、逆さ吊り実験から生み出される曲線。その模型が展示されています。
展覧会場内の模型は撮影禁止ですが、下の写真は現地ミュージアムで撮影。
現地では(日本語解説がないので)さっぱりわかりませんでしたが、とりあえずカメラに収め、今やっとこれが何ものか理解できました(苦笑)
ここからは建物のようすを10年前の写真でご紹介します。
サグラダファミリアの建築
生誕(降誕)のファサード
ガウディが生存中に唯一完成していた面で東側に位置します。
イエス・キリストの誕生から青年期の物語を再現しており、現在は観光客の入場口となっています。
ここには日本人で主任彫刻家として活躍する外尾悦郎氏が手掛けた彫刻があります。
アジアっぽい温かみがある顔立ちに感じました。
展覧会では1990年から約10年間ここに仮設されていた像(実物大)が展示されています。
受難のファサード
キリストの苦難や悲しみを表現した西側の面で、生誕のファサードと比べると対照的に直線的が多用されたデザインになっています。
見学した時には絶賛工事中だったこの部分もこの4年後の2016年に完成しています。
栄光のファサード
南面のこちらは、キリストの栄光を示す教会のメインの面となるといわれています。
しかしこの時点ではほとんど工事が進んでいませんでした。
現在、入場口となっている生誕のファサードが正面というイメージが強いのですが、この先どうなるのかとても興味があります。
塔
サグラダ・ファミリアには全部で18の塔が造られる予定です。
2021年以降続々と塔(マリアの塔、4本の福音書作家の塔)が完成していて、2026年に最大の塔であるイエスの塔が完成予定です。
展覧会で展示されている塔の模型(パーツ)
塔の先端の装飾(鐘塔頂華)は、植物や幾何学をモチーフにしていて、スペインらしい破砕タイルでデザインされています。
当時は網に囲まれ(曇り空だったので)色もはっきり見えませんでしたが、これらの塔も完成したようです。
現在は、このあたりの塔のようすが一番進化を感じられるのではないでしょうか?
柱
樹木をイメージした柱
当時はこの下に立った感動だけでお腹いっぱいでしたが・・・
展覧会ではこの柱の複雑な構造が解説されています。私の脳みそでは難しすぎて理解できませんでした(>_<)
ステンドグラス
2014年当時、ステンドグラスは絶賛工事中でした。
南欧の教会では光を抑えるために窓の面積を少なくするところ、ガウディは北欧並みに採光する構造にしているそうです。
柱の構造で光加減が調整されるのだとか。
日差しの強さや時間よって幻想的な空間が醸し出されます。
これはどれだけ解説を読むよりも現地に行ってその美しさを体験していただきたい!
展覧会限定グッズ
1階にはグッズショップコーナーが開設されています。けっこうな混雑っぷり。
書籍、ポストカード、ノート、クリアファイル、メモ帳他文房具、お菓子やぬいぐるみもありました。
Tシャツやエコバッグもオシャレです。
アーティストさんやアニメとのコラボグッズ、会場限定グッズもあります。
愛知限定グッズを中心に購入しました。
右は干菓子(和三盆)ですが食べるにはちょっとサイズがでかい(苦笑)
「ガウディ&サグラダファミリア缶」については売り切れ。入荷は2月とのことでした。
ガウディとサグラダファミリア展について
日 程 2023年12月19日から2024年3月10日
場 所 名古屋市美術館(白川公園内)
入場料 一般1800円(団体他 割引チケットあり)
私は1・2月平日限定チケット(1500円)を購入。ローソンで発券していきました。
しかし、年明け開館初日(お昼少し前の入館)でほぼ休日のような混雑っぷり。
建物に入ってから展示室入口まで20分ほどかかりました。ただし動き出すとそんなに窮屈な感じもなく、マイペースで鑑賞できました。
音声ガイドについて
私は利用しませんでしたが650円で音声ガイドが借りられます。
俳優さんの語りだったり、またスペシャルプログラムも含まれているそうです。
展示は説明パネルも多く、じっくり読むとかなり時間がかかります。効率よく巡りたい場合は音声ガイドを使う方がいいのかなと思います。
また、この展覧会の同時企画として、NHK名古屋放送センターでは、「VRでよみがえるガウディ~サグラダ・ファミリアの秘密~ 」というイベントが開催されています。
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